本研究では、精神疾患患者を対象に施行された電気けいれん療法(ECT)による脳波変化をマルチスケールエントロピー(MSE)解析を用いて評価し、臨床症状変化との関連性を検討することで、ECTの神経生理メカニズムを解明することを目的とした。 うつ病症例ではECTによって複雑性の低下が認められ、この変化はうつ症状尺度における改善と関連していた。自閉スペクトラム症例ではECTによって前頭中心部で複雑性が低下、後頭部では複雑性が上昇しこれらの脳波変化は臨床症状尺度及びBDNF値の変化と関連した。 MSE解析を用いた脳波の複雑性解析は、ECTの神経生理学的メカニズムを探る上で有用な解析法であることが示唆された。
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