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2016 年度 実績報告書

認知症発症予測バイオマーカーの探索:軽度認知障害の進行性病態に関連する酸化RNA

研究課題

研究課題/領域番号 26461741
研究機関山梨大学

研究代表者

布村 明彦  山梨大学, 総合研究部, 准教授 (60241436)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード老年精神医学 / うつ病 / 認知症 / アルツハイマー病 / 脳画像 / 酸化RNA / アミロイドβ / 電気けいれん療法
研究実績の概要

高齢うつ病から認知症発症に至る過程の予後予測マーカーや介入法開発の手がかりを得るために,以下の検討を行った.50歳以上のうつ病入院患者50例(平均MMSE入院時24.8,退院時28.0),うつ病を伴わない健忘型MCI患者10例(平均MMSE 27.3),および軽症レビー小体型認知症(DLB)患者6例(平均MMSE 27.7)を対象に,うつ病評価尺度,認知機能評価尺度,脳画像,および血中マーカー検査を施行した.
うつ病群では,退院時のGDSおよびHAM-Dと海馬傍回萎縮度,ならびにBDI-IIとAD特異領域の脳血流低下度の間に正相関が認められた.また,退院時の血漿Aβ40はBDI-IIと正相関,文字流暢性と逆相関していた.入・退院時の血漿Aβ40と海馬傍回萎縮度との間にも正相関が認められた.
うつ病治療のために薬物療法のみを行った群とECTを行った群を比較すると, ECT群では治療後に血漿Aβ40が有意に低下し,ECT施行回数は,HAM-D,BDI-II,および文字流暢性の改善度と正相関し,アルツハイマー病(AD)特異領域の脳血流低下度と逆相関した.また,抗うつ治療前後の認知機能レベルによってうつ病群を認知機能正常群,MCIから正常へのリバート群,および非リバートMCI群の3群に分けると,認知症ハイリスク群である非リバートMCI群では入院時点で他の2群より血漿Aβ40が高く,文字流暢性が低かった.文字流暢性の低下は,非うつ病性MCI群や軽症DLB群には認められず,うつ病から認知症発症にいたる過程に特異的である可能性がある.血中酸化RNAは,うつ病治療前後でAD特異的脳領域の血流低下度と相関して変化したが,認知機能予後の予測機能は乏しかった.
以上の結果から,高齢うつ病から認知症発症に至る過程における簡便な予後予測マーカーの可能性や脳刺激療法による介入の有効性が示唆された.

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件) 図書 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Modulation of Parkinson's disease associated protein rescues Alzheimer's disease degeneration2017

    • 著者名/発表者名
      Nunomura A, Zhu X, Perry G
    • 雑誌名

      Journal of Alzheimer's Disease

      巻: 55 ページ: 73-75

    • DOI

      10.3233/JAD-160878

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 認知症における酸化ストレスの役割2017

    • 著者名/発表者名
      布村明彦,玉置寿男
    • 雑誌名

      老年精神医学雑誌

      巻: 28 ページ: 162-170

  • [雑誌論文] Plasma amyloid-β and Alzheimer’s disease-related changes in late-life depression2017

    • 著者名/発表者名
      Yamazaki C, Tamaoki T, Nunomura A, Tamai K, Yasuda K, Motohashi N
    • 雑誌名

      Journal of Alzheimer's Disease

      巻: 58 ページ: 349-354

    • DOI

      10.3233/JAD-170111

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 基礎講座:老年精神科専門医のための臨床神経病理学 第3回 アルツハイマー病2017

    • 著者名/発表者名
      布村明彦
    • 雑誌名

      老年精神医学雑誌

      巻: 28 ページ: 印刷中

  • [雑誌論文] MCIとプレクリニカルADの概念と疫学2016

    • 著者名/発表者名
      布村明彦
    • 雑誌名

      老年精神医学雑誌

      巻: 27 ページ: 607-615

  • [雑誌論文] ストレスと認知機能アンチエイジング2016

    • 著者名/発表者名
      布村明彦
    • 雑誌名

      アンチ・エイジング医学‐日本抗加齢医学会雑誌

      巻: 12 ページ: 339-345

  • [雑誌論文] オートファジーと神経変性2016

    • 著者名/発表者名
      布村明彦
    • 雑誌名

      老年精神医学雑誌

      巻: 27 ページ: 1152-1153

  • [学会発表] 血漿アミロイドβ40と高齢者うつ病2017

    • 著者名/発表者名
      布村 明彦 、玉置 寿男 、山崎 智永実、玉井 健一 、安田 和幸 、本橋 伸高
    • 学会等名
      第5回 認知症の早期発見,予防・治療研究会
    • 発表場所
      TKP品川カンファレンスセンター,東京都品川区
    • 年月日
      2017-03-26
  • [学会発表] せん妄:診断・予防・治療2016

    • 著者名/発表者名
      布村 明彦
    • 学会等名
      第34回日本神経治療学会
    • 発表場所
      米子コンベンションセンター、鳥取県米子市
    • 年月日
      2016-11-03 – 2016-11-05
    • 招待講演
  • [学会発表] アミロイドPET画像で背景病理を確認できたposterior cortical atrophyの1例2016

    • 著者名/発表者名
      上田哲也、布村明彦、石黒浩毅、本橋伸高、二村明徳、 河村 満、石井賢二
    • 学会等名
      第107回東京精神医学会
    • 発表場所
      東京医科歯科大学M&Dタワー、東京都文京区
    • 年月日
      2016-07-16
  • [学会発表] ストレス適応と認知症予防2016

    • 著者名/発表者名
      布村明彦
    • 学会等名
      第16回日本抗加齢医学会総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜、神奈川県横浜市
    • 年月日
      2016-06-10 – 2016-06-12
    • 招待講演
  • [学会発表] 生活習慣病と精神神経疾患の関連性を酸化ストレスから考える2016

    • 著者名/発表者名
      布村明彦、玉置寿男、本橋伸高
    • 学会等名
      第112回日本精神神経学会
    • 発表場所
      幕張メッセ国際会議場,千葉県千葉市
    • 年月日
      2016-06-02 – 2016-06-04
    • 招待講演
  • [図書] 精神科・わたしの診療手順(改訂版)臨床精神医学46巻増刊号2017

    • 著者名/発表者名
      布村明彦
    • 総ページ数
      524
    • 出版者
      アークメディア
  • [図書] 精神医学症候群Ⅲ(第2版) 日本臨床2017年9月別冊2017

    • 著者名/発表者名
      布村明彦
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      日本臨床社
  • [図書] 認知症治療薬の考え方,使い方2017

    • 著者名/発表者名
      玉置寿男,布村明彦
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      中外医学社
  • [備考] 国立大学法人 山梨大学 研究者総覧 研究者公開情報

    • URL

      http://erdb.yamanashi.ac.jp/rdb/A_DispInfo.Scholar?ID=7A340E6805978836

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公開日: 2018-01-16  

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