研究課題/領域番号 |
26461743
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
諏訪 太朗 京都大学, 医学研究科, 助教 (10518153)
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研究分担者 |
麻生 俊彦 京都大学, 医学研究科, 助教 (50397543)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 緊張病 / 緊張病症候群 / 電気けいれん療法 |
研究実績の概要 |
緊張病状態にある患者の安静時fMRI撮像、FDG-PET撮像を行い治療前後で比較することによって、緊張病状態の神経基盤と目される意思・運動・感覚にわたるネットワーク異常を調べることが当研究の主な目的である。研究計画では3年間で20名の緊張病状態にある患者について治療前後の画像と心理検査データ収集を行う予定であった。 基盤にある疾患が多様であること(統合失調症、うつ病、双極性障害)および疾患の特性上、体動などによって十分なデータが得られない事も多く、詳細な解析を可能とするため研究期間を4年に延長し、目標とする症例数も30名程度に拡大した。平成28年6月には当学の倫理委員会に研究期間の延長申請を行い承認を得ている。 平成28年度に代表者らは気分障害・統合失調症を基盤に置く緊張病状態の患者、緊張病状態に準ずると考えられる昏迷状態の患者のリクルートを進め、治療前後におけるデータ収集を行った。当学の3テスラMRI装置およびPET-CTを用いて現在24名の脳構造(MRI)画像撮像、安静時fMRI撮像・心理検査、および8名のFDG-PET撮像を終えており、それに加え2名の患者の治療前におけるMRI撮像、心理検査を終了している。 緊張病状態の患者における症状消失後の頭頂葉外側の局所代謝の回復や、体性感覚に関連する機能的ネットワークの変化など、症例レベルでは先行研究に合致する変化がみられており、その一部は平成28年7月25日26日に行われた第39回神経科学学会サテライトシンポジウム(意識の起源)「Neural correlates of awake but alered conscious state and disorder of arousal」や同年12月2日岡山県難治性精神疾患地域連携体制整備事業mECT研究会「mECTの基本事項と画像研究のトピック」などで報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定である20症例を超えた画像データを収集できたのが平成28年度の8月であり、詳細な解析結果について発表が行えていないために予定よりも若干遅延していると判断した。更に詳細な解析のため、平成29年度も疾患群リクルートの継続を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
MRI撮像から得られた画像データを解析し、脳構造ならびに安静時機能的結合における治療前後の比較、および治療前半と後半に生じる変化の比較を行う。PET撮像から得られた治療前後の脳局所糖代謝の画像を解析することで皮質、基底各領域の代謝の変化を調べる。先行研究で報告の多い基底核領域と視床については関心領域として設定することで詳細な解析を行う。年度内にMRI画像、PET画像についてそれぞれ一つずつの論文を作成し投稿する予定である。その後、局所糖代謝、脳構造、安静時機能的結合の3つの変化を包括的した報告を作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
健常対照群のリクルートが遅延したことにより撮像費用の出費が予定よりも低く抑えられたこと、解析の遅れによって学会発表を行わなかったために旅費が使用されなかったことによって当初の予定よりも使用額が低くなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度前半に健常対照群20例、疾患群5例ほどのPETおよびfMRI撮像を予定しており、その謝金、検査費用に100万円ほどを充てる予定。解析ソフトの購入に20万円、論文投稿費用に10万円、海外での学会発表に50万円程度の支出を行う。
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