緊張病状態にある患者の安静時fMRI撮像、FDG-PET撮像を行い治療前後で比較することによって、緊張病状態の神経基盤と目される 意思・運動・感覚にわたるネットワーク異常を調べることが当研究の主な目的である。研究計画では3年間で20名の緊張病状態にある 患者について治療前後の画像と心理検査データ収集を行う予定であった。 基盤にある疾患が多様であること(統合失調症、うつ病、双極性障害)および疾患の特性上、体動などによって十分なデータが得ら れない事も多く、詳細な解析を可能とするため研究期間を4年に延長し、目標とする症例数も30名程度に拡大した。平成29年6月には当学の倫理委員会に研究期間の延長申請を行い承認を得ている。 平成29年度に代表者らは気分障害・統合失調症を基盤に置く緊張病状態の患者、緊張病状態に準ずると考えられる昏迷状態の患者の リクルートを進め、治療前後におけるデータ収集を行った。当学の3テスラMRI装置およびPET-CTを用いて現在32名の脳構造(MRI)画 像撮像、安静時fMRI撮像・心理検査、および9名のFDG-PET撮像を終えている。 現在治療前後の脳体積、機能的結合の変化について論文を作成中である。 緊張病状態の患者における症状消失後の頭頂葉外側の局所代謝の回復や、体性感覚に関連する機能的ネットワークの変化など、症例 レベルでは先行研究に合致する変化がみられており、統合失調症を基盤にした緊張病状態については、PET研究を加えた3つのモダリティを用いた評価を行い、別途論文化の準備を進めている。
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