本研究では、認知症(特にレビー小体型認知症)の前駆症状として注目されているレム睡眠行動障害(REM Sleep Behavior Disorder: RBD)に着目し、脳MRI 画像を用いたコネクティビティ解析を行い、特発性RBD の病態を明らかにするとともに、特発性RBD患者の初期診断後に、年次経過観察を行い、高次脳機能評価、神経症状評価とともにコネクティビティ解析を行い、RBD からα-シヌクレイノパチーの別個の疾患に進展する、RBD患者の神経変性過程の相違点を経過を追い検討し、各々の神経基盤を解明することを目的とした。最終年度は、初年度および2年目に引き続き症例の蓄積を継続した。また、本研究課題全体を通して収集されたデータ解析を行った。この結果、神経回路の一部に、比較対照群(健常群)と比して神経コネクティビティに相違を認めるネットワークが存在することが明らかとなった。 RBD症例では、α-シヌクレイノパチーを経過中に発症してくる症例がしばしば認められるが、現時点で認知症への進展予防という観点から、その予測因子の包括的研究は十分なされておらず、介入対象となるべき患者群もはっきりしていない。このような観点からは、RBD の段階から神経変性疾患へ進展する変性過程を明確にし、病態の解明と早期介入の必要な群を明らかにすることの意義は非常に大きいと考えられる。 今後、本研究課題で得られた結果をさらに発展させる形で対象症例を増やして包括的研究につなげる予定である。
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