研究課題/領域番号 |
26461745
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
柳田 寛太 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員(常勤) (70467596)
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研究分担者 |
田上 真次 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40362735)
大河内 正康 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (90335357)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | γ-セクレターゼ / アミロイド / CRISPR/CAS9 |
研究実績の概要 |
γ-セクレターゼ非依存的なβAPPの膜内切断メカニズムを解析するため、Aβ産生を増加させる家族性アルツハイマー病変異体(スウェーデン変異)のβAPPを発現させたHEK細胞(swAPP/HEK)を作製し、γ-セクレターゼの主要構成タンパクであるプレセニリン1及びプレセニリン2をCRISPR/CAS9法を用いてノックアウトした。この細胞(swAPP/PSDKO HEK細胞)の培養上清中のAβをELISAで測定すると、検出限界以下であった。また、γ-セクレターゼの基質となる、β-セクレターゼでβAPPが切断されたC末端断片(β-CTF)をウエスタンブロット法で定量すると、swAPP/HEKに比べて6.5倍増加していた。以上の結果から、この細胞はγ-セクレターゼ活性を欠損しているためAβを産生できないと考えられる。この細胞にタンパク分解酵素の阻害剤であるTPEN(膜透過性金属キレート剤)、Bafilomycin A(エンドソーム/リソソーム酵素阻害剤)、Lactacystin(プロテアソーム阻害剤)を作用させると、TPENで2倍、Lactacystinで1.3倍β-CTFが増加していた。しかし、TPENとLactacystinをswAPP/HEK細胞に作用させてもあまり増加しなかった。この事から、β-CTFの大部分はγ-セクレターゼによって切断されているが、一部はメタロプロテアーゼ及びプロテアソームで分解されることが示唆された。現在、TPENとLactacystin を作用させたswAPP/PSDKO HEK細胞のβ-CTFが膜内で切断されているかを調べるため、膜貫通領域中の断片ペプチドを調製している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
γ-セクレターゼの基質であるβ-CTFがメタロプロテアーゼとプロテアソームで分解される可能性を発見した。TPENとLactacystinを作用させた時にswAPP/PSDKO HEK細胞のβAPPが膜内で切断されるのかを調べるため、膜貫通領域の断片ペプチドを液体クロマトグラフ質量分析装置(LC-Ms/Ms)で定量する予定であった。しかし、今まで使用していたLC-Ms/Msが使えなくなり、別の装置で測定できるように設定し直したため時間がかかってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
現在使用しているLC-Ms/Msは今までのものより感度が低く、分離能も低かった。しかし、最新の液体クロマトグラフを取り付けたため分離能が上がり、断片ペプチドが測定できるようになった。このLC-Ms/Msを用いてTPENとLactacystin を作用させたswAPP/PSDKO HEK細胞の膜内断片ペプチドを測定する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
液体クロマトグラフ質量分析装置の測定を担当していた技術員が退職したため、非常勤の技官を雇用する費用に充てる予定であった。しかし適任者が見つからず、すべて自分で実験を行ったので費用がかからなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
液体クロマトグラフ質量分析装置で測定するための試薬や消耗品を購入する。
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備考 |
補助事業期間延長承認 平成29年3月21日
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