研究実績の概要 |
今年度は、健常対象においてOff-lineデータ処理を確立した。SPM8 package (Welcome Department of Cognitive Neurology, London, UK)を用いる。SPM8による基礎的なデータ処理に続いて、seed-to-voxel FC (functional connectivity)およびROI-to-ROI FCをthe conn toolbox (Whitfield-Gabrieli and Nieto-Castanon, 2012)を用いて群間比較を行った。ROI-to-ROI FC (ROI: Region of Interest)では、DMN内の各node(mPFC, PCC/precuneus, IPL, hippocampus)間のFC、DMN内の各nodeとDMN以外の間のFCを評価した。(mPFC: medial prefrontal cortex, PCC: posterior cingulate cortex, IPL: inferior parietal cortex) また脳波とfMRIの同時解析も行った。波形解析およびアーチファクト除去にはBrain Vision社製Vision AnalyzerⓇを用いた。アーチファクト除去後の波形より、8の周波数帯域のoscillationのlocalization解析およびDMN内の各node (mPFC, PCC, IPL)間のconnectivityをsLORETA software (LORETA-Key®)を用いて評価した。Pascual-Marquiら18,19)により提唱された方法により、causal connectivity analysis (nonlinear similarity, phase-synchronization)を行った。 さらに統合失調症患者におけるDefault Mode Network (DMN)をfunctional MRI (fMRI)と脳波の同時計測を用いて検討した。統合失調症患者群では健常対照群と比べて、DMN内のnode間でmPFCを起点とするFCが亢進している可能性が示唆された。これら所見より、統合失調症では内向的な精神活動は過活動な状態あり、妄想や自閉的思考などの臨床症状の基底にある病理とも考えられた。
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