本研究において我々は統合失調症患者におけるfunctional connectivity (FC)をresting-state functional MRI (rs-fMRI)と脳波の同時計測を用いて検討した。 【対象と方法】統合失調法患者30名と年齢性別をマッチさせた健常対照群30名に対しrs-fMRIおよび脳波同時記録を行った。Functional imageはa gradient-echo echoplanar sequenceを用いた。seed-to-voxel FCおよびROI (region of interest)-to-ROI FCをthe conn toolbox を用いて行った。脳波記録はVision Recorderを用い、アーチファクト除去後の波形より、oscillationのlocalization解析および10のROI間のconnectivity をeLORETA softwareを用いて評価した。 【結果】rs-fMRIにおいて健常対照群では尾状核をseedとしたFCにおいて負の結合を示したのに対し、患者では負の結合が消滅していた。eLORETAにおいて患者群は健常群と比べて、local over-connectivity/global underconnectivity傾向を認めた。 【考察】rs-fMRIにおける、尾状核を起点とするFCの負の結合の消滅という所見は、統合失調症の皮質線条体ネットワーク仮説やネットワーク間分離不全仮説を支持するものである。eLORETA所見におけるlocal over-connectivity/global underconnectivity傾向はネットワーク間分離不全によるネットワーク間の相互制御の障害と関連を持つ可能性が示唆された。
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