研究課題/領域番号 |
26461760
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
丸山 将浩 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 准教授 (80396481)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ビトロネクチン / ビトロネクチン受容体 / タウオパチー / 脳萎縮 |
研究実績の概要 |
タウオパチーの病変領域において微小顆粒状にビトロネクチン(Vn)蓄積する現象は、その受容体であるインテグリンαサブユニット(ITGAV)が元来発現していない領域では認められず、発現していた領域に一致して確認されることを明らかにした。Vn蓄積現象はVn-受容体相互作用関係に依存することによって、領域特異的に引き起こされるものと見込んだ。そこで受容体側に観点を置き、月齢を合わせた野生型とタウマウスにおけるITGAVの発現分布を経時的に比較評価した。野生型マウス海馬では歯状回分子層にITGAV発現を認めるも、CA1~4の線維層には認めなかった。一方タウマウスではタウ病変を形成する9月齢頃より分子層におけるITGAV発現分布にムラを生じ、陰性だったCA1~4に陽性化所見の拡大を認めた。活性化ミクログリアやアストロサイトマーカーを重染することにより、これらが陽性化の正体であることを確認した。タウマウス分子層ではニューロン由来に加えてグリア由来のITGAV発現が増加した訳だが、進行期には分布にムラが生じてむしろ減少した印象を持った。ニューロン由来と思われるITGAV発現量が減少するに伴い、Vn蓄積が増加するものと思われた。タウオパチーによってニューロン由来ITGAV発現低下を及ぼし、細胞表面での取り込みおよび細胞内輸送低下を呈した結果、Vn蓄積現象として認めるものと考えられた。ITGAVはニューロン、活性化グリア両者に発現する。ニューロン由来に限定したITGAVを表現する特異的なマーカーを見出すことで、当該現象のメカニズムをより明瞭にすることが出来ると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タウオパチーにおけるVnの蓄積並びに脳萎縮制御機構において、Vn蓄積現象を受容体相互作用に視点を置き、受容体側の発現分布を評価した。ニューロンにおけるVn蓄積に相反してニューロン由来の受容体発現が減少することを見出した。本研究は順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
Vnが神経保護的に病変領域に蓄積するものと報告したが、Vnとグリア間の相互作用機構を追及することで、より具体的な神経保護メカニズム解明に繋げることが出来るものと見込んでいる。 Vn蓄積現象が受容体相互作用に関連して発生するならば、中枢神経疾患に限らず末梢神経筋疾患や他臓器疾患にも起こり得るかもしれず、確認したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
ニューロン由来のITGAVを表現する特異的なマーカー探索を行いたいと考えたが、所属異動のタイミングが重なったために次年度に繰り越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
探索作業を行うことによって、タウオパチー病態の鍵となる因子を同定したいと考えている。
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