研究課題/領域番号 |
26461761
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
住吉 太幹 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 病院, 部長 (80286062)
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研究分担者 |
中込 和幸 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 病院, 副院長 (30198056)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ニューロモデュレーション / 統合失調症 / 認知機能 / 日常生活技能 / 脳機能計測 |
研究実績の概要 |
本研究では、統合失調症患者に対する経頭蓋直流刺激(transcranial direct current stimulation, tDCS)の有用性を検証する。治療効果の指標については、社会的予後・転帰を予測するとされる認知機能(神経心理バッテリーで評価)などに注目する。さらにtDCSの施行前後において、近赤外線スペクトロスコピー(光トポグラフィー)などの脳機能評価を行い、反応性の予測を試みる。本研究が目指すtDCSの客観的運用法の開発は、今までと異なる神経生物学的機序に基づく、患者の社会復帰に向けた新たな治療法の創出につながる。 平成26年度は、本研究で用いる社会機能的能力(金銭出納技能、コミュニケーション技能など)をロールプレイにより評価する測定尺度であるUPSA-B (International version)日本語版を作成し、その妥当性を検討した。その結果、UPSA-B日本語版は国際的に広く用いられているMATRICSコンセンサス認知機能評価バッテリー(MCCB)の日本語版で測定される認知機能と有意な相関を示すことを、統合失調症患者において確認した。また、その成果を欧文専門誌に公表した(Sumiyoshi et al. Schizophr Res Cogn, 1:137-143, 2014) 。 さらに、tDCS施行の際のパラメタ―(刺激強度、頻度、刺激部位など)や被験者の選択基準の詳細について、関連する文献や学会などにおける情報から検討を進めた。そのような知見に基づき作成した本研究のプロトコールを、代表研究者が所属する国立精神・神経医療研究センターの倫理委員会に申請し、承認を得た(A2014-100)。tDCS施行、認知機能など臨床評価などに向けた人的システムや、tDCSの安全な施行を担保するための専門病室などの整備も行い、現在被験者のリクルートを進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記したように、本研究で用いるアウトカムメジャーの開発・検証、プロトコールの倫理委員会による承認、tDCSの施行場所の確保など、研究環境の整備は十分進んだ。被験者のリクルートはすでに開始されている。
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今後の研究の推進方策 |
被験者のインテークを維持するため、外来患者および入院患者の両方を対象とする。tDCS施行前後に実施する近赤外線スペクトロスコピー測定との連携を確保するため、コーディネーター業務担当者を配置する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究プロトコールの倫理委員会での承認時期、および連動する被験者のリクルートの開始時期が当初の予定より遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の理由に伴い、臨床研究評価を行う研究補助者に充てる人件費、被験者への謝金、tDCS施行に要する消耗品購入等に対する予算の使用の一部を、次年度に繰り越す。
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