研究課題
本研究では、ADHD 治療薬とQT 延長関連遺伝子多型がQT 間隔に与える影響について24 時間ホルター心電図を用いて詳細に検討し、ADHD 治療薬服用児の心血管イベントリスク評価法を確立する。ADHD 治療薬と関連したQT 延長症候群に遺伝子多型が与える影響についての研究はまだ報告がなく、上記関係が明らかになれば、ADHD 治療薬投与前に個々の患者におけるQT 延長リスクの評価が可能となり、リスクを考慮した薬剤選択が可能となる。本研究では、各薬剤群(塩酸メチルフェニデート、アトモキセチン)における24 時間のQT 間隔の推移、各QT 延長関連遺伝子多型、用量、性別、年齢などを包括的に解析することにより、各因子がQT 延長に与える影響の大きさを明らかにすることを目的としている。予想される結果としては、①ADHD 治療薬投与がQT 間隔延長の一因となっており、その影響は薬剤の種類によって異なること。②その影響の程度については個体が有するQT 延長関連遺伝子の多型によって異なってくること、などが想定される。予想された結果が臨床現場に応用された暁には、ADHD の薬物治療において、事前に臨床情報を収集し、特定のQT 延長関連遺伝子多型を解析することにより、個体ごとにQT 延長リスクを考慮した薬剤の選択が可能となり、QT 延長による心臓突然死を予防することが可能となる。また、QT間隔に影響を与えない薬剤の開発のための基礎的研究ともなる。
3: やや遅れている
対象が児童であり、保護者の同意がひつようであることからサンプる収集が当初の予定より遅れている。
平成28 年度も引き続きADHD 患児100 名のホルタ―心電図データおよびDNA 解析データ収集を目標にサンプリングを続ける。また、これまでの研究を総括し、国内外の各関連学会、研究会において発表する。並行して、海外の専門学術雑誌への投稿も予定している。
サンプル収集の遅れに伴う、実験遂行の遅れによる
当初の予定サンプル数を目指す。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件)
Schizophrenia research
巻: 171(1-3) ページ: 68-73
10.1016/j.schres.2016.01.016
BMJ Open
巻: 5(12) ページ: open access
10.1136/bmjopen-2016-011619