研究課題/領域番号 |
26461767
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮田 淳 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90549099)
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研究分担者 |
酒井 雄希 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60714475)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 安静時機能的MRI / 独立成分分析 |
研究実績の概要 |
本研究では統合失調症などで見られる妄想を、認知的バイアスの観点からとらえ、認知的バイアス課題、行動薬理学的介入、および多モダリティの脳画像による脳領域間結合解析により、その形成基盤を明らかにすることを目的とした。具体的には、1)妄想形成の各段階に関わる灰白質領域の構造的・機能的異常の同定、2)灰白質領域間の機能的結合性異常と、白質の構造的結合性異常の同定、3)ドーパミン遮断薬・作動薬による機能的結合性変化の有無の同定の3項目について明らかにすることを目指した。平成26年度は患者群および健常対照群のリクルート、三次元MRI画像、拡散テンソル画像、安静時機能的MRI画像、認知課題を用いた機能的MRI画像の撮像を行い、データベースの充実に努めた。そのなかで比較的早い段階から使用可能となった安静時機能的MRI画像データを用いて、機能的脳領域間結合解析を行った。画像解析ソフトFSLを用いた独立成分分析により、統合失調症では健常群に比較して、妄想形成のSalience過剰仮説に関連すると考えられる側頭葉内側ネットワーク、Salienceネットワーク、基底核ネットワークにおいて、機能的結合性の減少および亢進があることを示した(Miyata et al, in preparation)。また、Salienceネットワークと基底核ネットワークとの間の機能的結合性が、統合失調症患者において亢進していることを明らかにした(Miyata et al, in preparation)。一方、SalienceネットワークとDefault modeネットワークとの間の機能的結合性は、統合失調症患者において低下していた(Isobe et al, in preparation)。これらの研究により、統合失調症における妄想形成の神経基盤を、ネットワークの機能的結合性の異常として明らかにすることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
安静時機能的MRIの独立成分分析はデータベースの構築が順調に進み、平成26年度中に行うことが出来た。 一方、認知的バイアス課題を、MRI用・MRI外用で一貫性を持たせて作成する上で時間がかかり、課題施行が平成27年度からとなった。また、MRIの不調により、拡散テンソル画像にアーチファクトが生じ、データ収集が遅れ、構造的結合性の検討が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
MRIの不調はすでに改善されており、拡散テンソル画像データを蓄積し、構造的結合性の検討を進めていく。 認知的バイアス課題を施行し、構造的・機能的結合性異常との関連を明らかにする。 行動薬理学的介入のための健常被験者のリクルートを開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
基金助成金の理念に基づき、少額の残金を年度内に無理に消化することはせず、翌年度に有効利用するため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は国内学会及び国際学会に参加し、情報収集及び研究成果発表を積極的に行う。また患者健常者合わせてのべ90人の被験者をリクルートする予定であり 、そのための被験者謝金およびMRI使用経費を計上している。
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