26年度においては、23年度基盤C研究「統合失調症の社会認知の包括的検査バッテリーの開発」において得られた知見を基にABCSoCS[エービーシーソックス:A Battery of Comprehensive Assessment of Social cognition in Schizophrenia]を実施者1名で実施できる形式に変更した。具体的には検査者2名で行う検査や採点が難しい検査を除外し、より短時間で簡便に検査者1名で実施できる検査になるように改定を行った。現在までに、変更後の形式を用いて新規の被験者を協力施設において研究協力者を募集し、新たに統合失調症者10名の検査を行い、統合失調症群の参加者の確保に努めている。 くわえて、23年度研究から現在までに蓄積された検査データの内、特に自己認知機能に関する質問紙について、項目ごとに統合失調症者と健常群を比較検討し、統合失調症者において自己認知がどのような様相を持っているのかについて検討を行った。この結果、多くの項目において、統合失調症者は、健常者に比べて自己認知を低く見積もる傾向があることが示唆された。この自己認知機能の検討内容については今後、学会発表および論文化の作業を行う予定である。
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