研究課題
長期入院から地域施行した精神障害者のコホートに対し、精神症状、認知機能、社会機能の評価を行い、12年間の結果につき解析を行った。その結果、退院後5年では、精神症状、認知機能の改善を認めたが、退院後12年では、精神症状と認知機能の低下を認めた。これは、退院後の地域ケアによる支援と当事者の内発的動機づけの発動により、精神症状と認知機能の改善を認めたが、その後さらに7年が経過し、当事者が高齢化(平均70歳以上)したことにより、機能低下したものと考えた。なお、社会機能は、退院5年、12年後ともに保たれていた。長期入院から地域施行した精神障害者のコホートにおいて、再入院となった者の特性を検討した。その結果、高年齢、低血小板数、低総蛋白、貧血の進行、異常Q波の出現が、再入院のリスクファクターとなっていることが分かった。地域で生活する精神障害者に対し、エンディングノートを記載してもらい、これまでの人生を振り返り、どのような死を迎えたいかを聞いた。エンディングノートの記載前後での精神状態、心理的な評価を行った。その結果、ノートの記載前後で精神的健康悪化は認めず、安全に思考できた。また、「ノートの記載には意義がある」との回答がほぼ全例であった。地域で生活する健常の95歳以上の超高齢者に、幸福感について尋ねたところ、71%が肯定的な幸福感をもっていた。幸福感と相関を認めたのは、認知機能が保たれている、介護負担度が低い、ポジティブ感情が高い、老年的超越が高い、外向的な性格傾向であった。
2: おおむね順調に進展している
地域生活する精神障害者の身体機能、認知機能および主観についての研究結果を国際学会において発表した。地域生活する精神障害者の身体機能、認知機能および主観についての研究結果を論文にまとめ始めている。精神障害者にエンディングノートを試用し、その結果の評価を行った。ポジティブな心理社会的特性を評価するための評価尺度を用いて、健常高齢者に施行した。
地域生活する精神障害者の身体機能、認知機能および主観についての研究結果についての論文を投稿する。ポジティブな心理社会的特性を評価するための評価尺度を、地域生活する精神障害者に試行していく。
国際学会の旅費が当初計画よりも少なかったため。
データ解析、学会発表、論文化を進めていく。
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臨床精神医学
巻: 46(2) ページ: 183-189
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