研究課題
「地域生活する高齢統合失調症患者の認知機能の長期経過の検討」【目的】認知機能障害は統合失調症の中核的症状の一つだが、高齢の統合失調症患者の認知機能の長期経過の検討はほとんどなく、一定の結論がない。本研究では、地域生活開始から15年を経た統合失調症患者の認知機能の長期推移について検討した。【方法】精神科病院を閉院し統合失調症患者78名を同時に地域生活へ移行した「ささがわプロジェクト」の参加者(退院後15年時点での平均年齢65.4歳)を対象に、退院から15年間経時的に、Mini-Mental State Examination (MMSE)による認知機能評価を行い、3年毎の得点を混合軌跡モデリングを用いて解析した(N=44)。退院時の精神病症状、全般的機能、社会機能、服薬態度、病識の評価を認知機能評価に対する独立変数として検討した。【結果】対象者は認知機能が低下しない群と顕著に低下する群の2群に分けられ、2群を分けた因子が退院時年齢であった。また、認知機能の低下しない群は顕著に低下する群と比べて、年齢の他に退院時の全般的機能・病識が高いという特徴があった。【考察】統合失調症患者は、より若年で地域移行すると、認知機能の長期的転帰や地域生活への適応が向上する可能性が示唆された。また、認知機能が長期的転帰に関与する可能性が考えられた。「地域生活する健常超高齢者の身体機能、認知機能およびポジティブな心理社会的特性」【目的】95歳以上の超高齢者の心身の健康について地域ベースで検討する【方法】東京都A区に在住する95歳以上の者に、質問票と訪問調査で、生活状況、身体的・精神的・社会的指標を評価した。生存と介護保険介護度の1年間推移を検討した。【結果と考察】要介護者が84%、1年間生存する者は76%、1年間介護度を維持する者は51%であったが、心身機能は良好に保たれ、サクセスフル・エイジングの達成を認めるものもいた。
2: おおむね順調に進展している
地域生活する精神障害者の身体機能、認知機能および主観についての研究結果を論文化し投稿準備中である。地域生活する精神障害者の認知機能の継時的な長期予後についての検討を行い、学会発表し、論文化し投稿準備中である。地域生活する健常超高齢者の身体機能、認知機能およびポジティブな心理社会的特性についての検討を行い、学会発表し、論文化し投稿準備中である。
地域生活する精神障害者の身体機能、認知機能および主観についての研究結果、地域生活する精神障害者の認知機能の継時的な長期予後について研究結果、地域生活する健常超高齢者の身体機能、認知機能およびポジティブな心理社会的特性についての研究結果についての論文を発表する。
(理由)国際学会の旅費を支出しなかったため。(使用計画)データ解析、学会発表、論文化を進めていく。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 3件)
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