研究分担者 |
岸 泰宏 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60256930)
竹内 崇 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (70345289)
小田原 俊成 横浜市立大学, 保健管理センター, 教授 (00244426)
杉田 学 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (20322414)
町田 裕 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (90317470) [辞退]
野田 隆政 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院, 医長 (50446572)
臼井 千恵 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70453587)
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研究実績の概要 |
せん妄の予防に関する有効な薬物療法的アプローチは確立されていない。このためわれわれは覚醒維持物質オレキシンの拮抗薬スボレキサントがせん妄予防効果をもつか、多施設共同プレセボ対照ランダム化比較試験で検証した。 対象は65-89歳のIUCあるいは急性病棟に2015年4月から2016年3月に新規入院する救急患者で、内服可能かつ48時間以上の入院が見込まれる者とした。72名がスボレキサント(15 mg/day; 36例)あるいはプラセボ(36例)に封筒法でランダム割付けされて3日間就寝時に服用した。主要観察項目はDSM-5で定義されたせん妄の出現率である。 スボレキサント群はプラセボ群と比較して有意にせん妄出現率が低く(0% [n/N=0/36] vs. 17% [6/36], P=.025)、ログランクテストでも同様の結果であった(χ2=6.46, P=.011)。今年度はさらに解析を進め、二元配置分散分析にてDRS-R98-Jの項目1:睡眠覚醒サイクル障害の評点に関する治療の主効果がF=3.79, P=.053と傾向水準を見出した。有害事象の出現率に有意差は認められず、重篤な有害事象は発生しなかった。 急性疾患で入院する高齢患者において、スボレキサントの就寝時投与にはせん妄予防効果が認められる。これにはスボレキサントによる睡眠覚醒サイクル改善効果の関与が窺われるが、そのように結論づけるには大規模な試験を要する。UMIN Clinical Trials Registry ID: UMIN000015681.
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