研究課題
脳卒中後にうつ病を併存した場合、通常の脳卒中患者と比べて、認知機能や身体機能の回復を一層遅らせ、患者の日常生活行動に悪影響を及ぼすと考えられている。しかし、これまでわが国の脳卒中患者のうつ病の併存の頻度や臨床的特徴について、脳卒中罹患後の追跡調査により把握されることはほとんどなかった。本研究は、脳梗塞患者を研究参加後12ヶ月間追跡調査し、うつ病の併発の頻度と臨床的特徴を解明することを目的とした。追跡調査は、東海大学医学部付属病院に入院となった成人の脳梗塞患者について、参加基準を満たし、除外基準に該当しなかった患者のなかで、同意を得られた患者を対象とした。同意取得後、研究参加時と3ヶ月ごとの訪問時に、被験者のうつ病やアパシーの評価を行い、合わせて日常生活行動レベルや認知機能などの評価を12ヶ月間行った。そして、研究経過中にうつ病に該当した場合、その時点で当該被験者の追跡研究を終了とした。脳梗塞後にうつ病に該当する患者については、同意が得られた場合には、抗うつ薬による治療研究を開始することとした。本研究は、東海大学医学部付属病院の臨床研究審査委員会の承認を得て開始した。2018年3月の時点で追跡を終了した被験者(2017年3月までに被験者となった患者)は43名であった。その中で、診断面接を少なくとも1回終了した被験者39名を本年度の解析対象とした。結果は、39名中うつ病を7名(大うつ病5名、小うつ病2名)(17.9%)に認めた。また、アパシーを12名(30.8%)に認めた。大うつ病とアパシーの併存は12名中4名(33.3%)であった。大うつ病に該当した被験者1名が治療研究の対象となったが脱落となった。本年度は、脳梗塞発症後の追跡調査において、わが国におけるうつ病とアパシーの頻度の傾向が明らかとなった。
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