研究実績の概要 |
1.研究の概要:大学新入生に対して、質問紙と面接による2年間の前向きコホート調査を行い、自閉症スペクトラム(AS)及び神経性無食欲症(AN)の年度ごとの有病率やANの発症に関与する大学生の心理社会的危険因子・改善因子を中心に明らかにする。 2.研究の成果:A大学1-2年生(N=2866)を対象に、一次質問票調査を実施した。参加者はN=2174(回収率77%,男:女=926:1248,平均年齢18.4±0.8歳)であった。このうち、EAT-26得点11点以上でBMI18.5未満の群(Probable ED: PED群)が男子学生の1.1%(N=10)、女子学生の2.2%(N=28)に存在した。PED群のEAT-26平均点は、男性で14.8(4.4)点、女性で15.3(3.7)点であった。PED群においては、EAT-26とAQ、BDIならびにBMIとの間には有意な相関関係を認めなかった(それぞれr=0.1, p=0.62; r=0.1, p=0.56; r=0.3, p=0.16)。AQとBDIは正の相関関係にあった(r=0.4, p=0.01)。 3.今後の研究の展開、課題等:現在、前向きコホート調査を継続し、データを収集中である。○神経性無食欲症の発症に関係する心理社会的要因を明らかにする。 入学時に神経性無食欲症臨床尺度が陰性であった者のうち、1年後にこれが高値となった者(神経性無食欲症を発症した者)について、発症しなかった群との比較を行い、入学時のどの要因が神経性無食欲症の発症に関与しているのかを特定することにより、早期に予防的介入すべき項目を明らかとする。 ○調査実施時の抑うつ気分が、自閉症スペクトラム指数(AQ-J)や気質といった自己記入式質問票の結果に及ぼす影響について検証する。
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