研究実績の概要 |
I. 新入生を対象とした横断研究(n=4552):①EAT-26から摂食障害の疑われる者(EAT-26得点≧20点)は、男性2.2%、女性4.4%であった。②自閉スペクトラム症特性と摂食障害との有意な関連を、抑うつなどの他の精神症状から独立して認めた。i.)自閉スペクトラム症特性のうち、細部へのこだわりが強い群は、低い群と比較して、摂食行動異常を呈する可能性は約2.5倍高かった(Odds比 2.58, CI:1.45-4.89, p<0.001)。ii.)コミュニケーション領域における自閉スペクトラム症特性が強い群は、弱い群と比較して、摂食行動異常を呈する可能性は約2.5倍高かった(Odds比 2.53, CI:1.26-5.44, p<0.01)。 II. 二次半構造化面接結果(n=131) :③二次面接参加者 (n=131)のうち、一次調査においてEAT-26が20点以上であった者は6名(4.6%)であった。6名は全員女性であった。BMIは軽度やせが1名、その他は正常であった。また、SCID-Iの摂食障害項目に該当する者はいなかった。⑤SCID-Iの摂食障害項目について女性3名(2.3%)が摂食障害と診断された。2名(1.5%)は神経性過食症であった。そのうち、1名のBMIは正常、EAT-26得点は1点、神経性やせ症から神経性過食症への移行例、残り1名のBMIも正常、EAT-26得点は16点であった。1名(0.8%)は神経性やせ症と診断されたが、調査票に身長と体重の記載はなく、EAT-26得点は15点であった。EAT-26で示唆される摂食行動異常は半構造化面接により明らかとなる摂食障害診断とは合致しなかった。一般の大学生を対象とした場合、EAT-26は実際の摂食行動異常というよりはやせ願望を反映する可能性が示唆された。また、EAT-26のみでは神経性やせ症のスクリーニングに単独で使用するには十分でないこと、健康診断時の記録などの客観的指標がスクリーニングには必要であることが示唆された。
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