研究課題/領域番号 |
26461776
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研究機関 | 園田学園女子大学 |
研究代表者 |
田渕 正樹 園田学園女子大学, 健康科学部, 准教授 (20340771)
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研究分担者 |
伊藤 龍生 近畿大学, 農学部, 教授 (40330245)
佐藤 隆夫 近畿大学, 医学部附属病院, 教授 (70162443)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 発達障害 / 妊娠高血圧症 / 降圧薬 |
研究実績の概要 |
妊娠時高血圧ラットおよび正常血圧ラット産仔の多動性/衝動性の差異,および妊娠時高血圧ラットに対する降圧薬の投与が産仔ラットの多動性/衝動性に及ぼす影響について検討を行った。妊娠時高血圧ラットとして脳卒中易発症性高血圧発症ラット(SHRSP)を,正常血圧ラットとしてウィスター京都ラット(WKY)を用い,多動性は,高架式十字迷路(Elevated plus-maze: EPM)装置のopen armおよびenclosed armへの侵入回数の総計,衝動性(不安状態の低下)はEPM装置におけるopen armへの侵入回数・滞在時間で評価し,以下の知見を得た。 妊娠時高血圧ラット産仔では,正常血圧ラット産仔に比し,open armへの侵入回数が5-6週齢において,多く認められた。open arm滞在時間も5-8週齢において有意に高値を示したことから,妊娠時高血圧ラット産仔は,若齢において衝動性が亢進していることが認められた。妊娠時高血圧ラット産仔に,多動性は認められなかった。 妊娠時高血圧ラットに,中枢作用性α2受容体刺激薬メチルドパを投与したところ,産仔(5週齢)における,open armへの侵入回数・滞在時間が有意に抑制されること,この効果は8週齢で消失することを見出した。妊娠時高血圧ラットに対する血管拡張薬ヒドララジンでは産仔のopen armへの侵入回数・滞在時間には影響が認められなかった。 以上の結果から,妊娠時高血圧は産仔の脳機能の発達,特に衝動性に影響を及ぼしていることが示唆され,この脳機能の発達異常に対して,一部の降圧薬に改善効果がある可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
妊娠時高血圧ラットおよび正常血圧ラット産仔,および妊娠時高血圧ラットに対する降圧薬の投与が産仔ラットの多動性/衝動性に及ぼす影響について,概ね予定通り進展している。特に,メチルドパについて,産仔の脳機能を改善する効果を見出したことから,今後はこれ現象について,神経幹細胞の分化能,増殖能を指標に迅速に進めていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画では,妊娠時高血圧ラットおよび正常血圧ラット胎児脳組織から神経幹細胞を単離,培養して,その分化能と増殖能について解析し,妊娠時高血圧が産仔の脳機能に及ぼす影響と,それを改善する薬物療法について,細胞レベルおよびタンパクレベルで明らかとしたい。また,引き続き,EPM装置を用いた行動学的解析をより詳細に明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請者の所属が年度途中で変更となり,実験設備等の移送や動物実験計画に若干の遅れが生じてしまい,当初よりも使用動物が減少してしまったため。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の実験計画にくわえ,臓器標本保存用の超低温フリーザーの購入(約40万円)が必要となったため,至急購入する予定である。
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