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2015 年度 実施状況報告書

妊娠高血圧症が小児期の精神・行動発達に及ぼす影響に関する分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26461776
研究機関園田学園女子大学

研究代表者

田渕 正樹  園田学園女子大学, 健康科学部, 准教授 (20340771)

研究分担者 伊藤 龍生  近畿大学, 農学部, 教授 (40330245)
佐藤 隆夫  近畿大学, 医学部附属病院, 教授 (70162443)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード発達障害 / 妊娠高血圧症 / 神経幹細胞 / 神経細胞
研究実績の概要

妊娠時高血圧ラットおよび正常血圧ラットの妊娠15~16日目に胎児を取り出し神経幹細胞を10日間培養し,その差異について検討したところ以下の知見を得た。
培養1日目から10日にかけて妊娠時高血圧ラットの生細胞が正常血圧ラットに比し,生存率に有意な減少が認められた。培養期間中,神経細胞数は妊娠時高血圧ラットが正常血圧ラットに比し有意に減少した。正常血圧ラットの神経細胞は形態が明瞭で突起の伸長が認められたが,妊娠時高血圧ラットでは神経細胞死が認められ,突起の断片化が多数認められた。妊娠時高血圧ラットのオリゴデンドロサイト数は,正常血圧ラットに比し,有意に低下した。
正常血圧ラットでは,オリゴデンドロサイトに多数の突起が認められたが,妊娠時高血圧ラットでは突起が認められなかった。妊娠時高血圧ラットのアストロサイト数は,正常血圧ラットに比し有意に減少した。妊娠時高血圧ラットの神経細胞,オリゴデンドロサイトの分化割合は正常血圧ラットに比し,有意に減少したが,アストロサイトの分化割合については妊娠時高血圧ラットで有意に増加した。
以上のことから,妊娠時高血圧ラットの神経細胞及びオリゴデンドロサイトはアポトーシスが引き起こされて減少し,その結果,その減少を補うためにアストロサイトの増加が誘導されたと考えられた。このことは,妊娠時高血圧が,胎児脳における神経幹細胞の分化に強く影響することを示唆しており,行動学的に観察された妊娠時高血圧ラット産仔の多動性や衝動性に関連している可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

妊娠時高血圧ラットおよび正常血圧ラット胎児脳組織から神経幹細胞を単離,培養し,その形態学的検討から分化能,増殖能を予定通り進めることができた。

今後の研究の推進方策

今後は,妊娠時高血圧ラットに降圧薬や食品成分を投与し,産仔の神経幹細胞への影響や行動学的変化を解析し,産仔の脳機能の発達をより正常化するための薬物療法について明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

神経幹細胞の研究が予定よりも順調に進み,使用する実験動物の数が当初予定よりも減少したため。

次年度使用額の使用計画

より再現性が取れるように,行動学的実験にもちいる動物数を若干増加させるとともに,行動の解析に用いる解析のシステムを整備する予定である。

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公開日: 2017-01-06  

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