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2015 年度 実施状況報告書

自閉症スぺクトラム障害の社会相互性障害の新規治療薬とantioxidant機構

研究課題

研究課題/領域番号 26461777
研究機関獨協医科大学

研究代表者

油井 邦雄  獨協医科大学, 医学部, 研究員 (90101352)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード自閉症スペクトラム障害 / 抗酸化タンパク / ceruloplasmine(Cp) / アラキドン酸 / 結節硬化症 / Cpの血漿濃度 / 病態と治療とCp
研究実績の概要

脂肪酸濃度と抗酸化機能とシグナル機能を持つバイオマーカーの変容を自閉症スペクトラム障害(ASD)で検索した。対象はASDの21例 (平均13.1歳)および年齢,性差がマッチした正常対照 21例(13.9歳)である。脂肪酸は3系統のファミリーがあるので、PUFAsの他に一価飽和脂肪酸など24種類の脂肪酸と3種類のシグナル機能バイオマーカーのceruloplasmin, (Cp)、transferrin(Tf),superoxide dismutase(SOD))の血漿濃度を測った。ASDの中核症状の評価には異常行動はAberrant Behavior Checklist-J (ABC-J), 社会性行動はSocial Responsiveness Scale (SRS)を用いた。さらにAA主体の製品服用後の症状の改善度を検索した。ASD群は対照群にくらべて、ω-6脂肪酸のAA濃度が有意に低く、ω-3のEPAが有意に高値であり、EPA/AA比は有意に高かった。ASD群はCp濃度が有意に低値であった。AA製品服用後に血漿のAAとCpの濃度が上昇して対照群との有意差が消失した。SRSの4項目と総合評価点が有意に改善した。ASDでは抗酸化能の低下がAAの低値と抗酸化タンパクとシグナル機能マーカーのCpの機能低下を生じたと考えられた。このような抗酸化能シグナル調整機能の異常が中核症状に関与したと推察された。AA補充療法でこのような病態と症状が改善した。

結節硬化症の8割にASD症状が随伴するので、抗酸化能のASD症状への関与の機序について、ASDを随伴する結節硬化症3例で検討した。ASD症状の改善に伴って抗酸化能の指標であるCpの濃度が上昇し、その上昇度は症状改善度とほぼ一致した。奏功機序として、脳内組織の抗酸化作用によると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

自閉症スペクトラム障害における抗酸化能の解析から、結節硬化症の自閉症スペクトラム障害症状でも抗酸化能が脳のシグナル伝達系のdegenerationに関与することが推察できた。したがって、自閉症スペクトラム障害症状は脳のシグナル伝達系の変性疾患という病態が推察できた。
今後は自閉症スペクトラム障害症状の成因を解析すべく、自閉症スペクトラム障害症状を持つ結節硬化症で抗酸化能をさらに検討し、症状の改善との関連を解析したい。

今後の研究の推進方策

これまでの検索によって、自閉症スペクトラム障害症状は脳のシグナル伝達系の変性疾患という病態が推察できた。今後は自閉症スペクトラム障害症状の成因を解析すべく、自閉症スペクトラム障害症状を持つ結節硬化症で抗酸化能をさらに検討し、症状の改善との関連を解析したい。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 自閉症スペクトラム障害の病態類型とバイオマーカー、治療方向性2016

    • 著者名/発表者名
      油井邦雄
    • 雑誌名

      日本生物学的精神医学会誌

      巻: 26 ページ: 146-153

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Down-regulation of a signaling mediator in association with lowered plasma arachidonic acid levels in individuals with autism spectrum disorders.2016

    • 著者名/発表者名
      Yui K, Imataka G, Kawasaki Y, Yamada H.
    • 雑誌名

      eurosci Lett

      巻: 610 ページ: 223-228

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Increased ω-3 polyunsaturated fatty acid/arachidonic acid ratios and upregulation of signaling mediator in individuals with autism spectrum disorders2016

    • 著者名/発表者名
      Yui K, Imataka G, Kawasak Y, Yamada H
    • 雑誌名

      Life Sci

      巻: 145 ページ: 205-212

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Mitochondrial Dysfunction and Its relation to mTOR signaling, and oxidative damege in autism spectrum disprders2015

    • 著者名/発表者名
      Yui K, Berk M
    • 雑誌名

      Mini Rev Med Chem.

      巻: 15 ページ: 373-389

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Eicosanoids Derived From Arachidonic Acid and Their Family Prostaglandins and Cyclooxygenase in Psychiatric Disorders.2015

    • 著者名/発表者名
      Yui K, Imataka G, Nakamura H, Ohara N, Naito Y
    • 雑誌名

      Curr Neuropharmacol.

      巻: 13 ページ: 776n-785

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 精神疾患の病態検索とそれにもとづく治療の効果2016

    • 著者名/発表者名
      油井邦雄
    • 学会等名
      第112回日本精神神経学会
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      2016-06-01 – 2026-06-03
    • 招待講演
  • [学会発表] 精神疾患における新規シグナル伝達経路と治療的展開2015

    • 著者名/発表者名
      油井邦雄
    • 学会等名
      第37回日本生物学的精神医学会
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      2015-09-24 – 2015-09-26
    • 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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