研究課題
我々は、血管新生因子PD-ECGFを標的とした新規腫瘍放射性診断薬剤I-123標識IIMU注射液を開発した。北海道大学病院にて本注射液の安全性の評価を目的としてFirst-in-human臨床研究を実施し、健常者で得られたI-123標識IIMUのSPECT画像は、PD-ECGFが存在する肝臓への集積が確認され、他の組織臓器への分布がほとんどなく腫瘍診断剤としての妥当性も評価されつつある。I-123標識IIMU注射液は、衛生管理された環境下、無菌操作を意識した手動製造により得られている。また手動ため製造担当者の被ばくの点からも改善が必要であり、自動合成装置による製造システムの構築が必要であった。そこで本研究では、I-123標識IIMU注射液の自動合成装置を用いた製造法を確立し、本装置により製造したI-123標識IIMU注射液の品質の評価を目的とした。本年度は、昨年度起こった収率低下の原因究明ならびに原料であるI-123溶液の組成変更にともない、再度標識合成条件の検討(I-123溶液の乾固方法ならびに中和、I-123ヨウ素化反応)を実施した。また合成条件に必要な標識前駆体HIMU・TFAの合成と精製を実施した。その結果、I-123溶液の乾固については、温度を50度から60度に上げ乾固時間の短縮に成功した。ヨウ素化のため必要な中和については、1.25eqの酸を加えることにより効率的にヨウ素化反応が進行することを見出した。I-123ヨウ素化反応においては、反応中間体の合成時に乾固操作を加えていたが、乾固操作をおこなわずヨウ素化反応を行うことにより、反応の収率の向上が確認された。標識前駆体HIMU・TFAを80mg(純度98%以上)を得ることができ、標識合成検討に用いた。標識合成収率の低下ならびにI-123溶液の組成変更と標識条件の再検討を優先した結果、収率の改善確認された。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Journal of Nuclear Medicine
巻: 8 ページ: 1276-1281
10.2967/jnumed.115.165811.