研究課題/領域番号 |
26461783
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高澤 千晶 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (60623189)
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研究分担者 |
森 菜緒子 東北大学, 大学病院, 助教 (90535064)
高瀬 圭 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60361094)
小玉 哲也 東北大学, 医工学研究科, 教授 (40271986)
石田 孝宣 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00292318)
宮下 穣 東北大学, 大学病院, 助教 (60710788)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マイクロバブル / 血管密度 / 拡散強調画像 |
研究実績の概要 |
乳癌の増殖、転移には腫瘍血管新生が密接に関係し、血管新生促進因子と間質からの抑制因子により調節されている。低酸素は血管新生に促進的に働く。今までに画像で新生血管と間質、低酸素状態の定量を同時に行った報告はない。 マイクロバブル造影超音波は2007年より肝腫瘍、2012年から乳癌に保険適応されている。肝腫瘍では早期相での腫瘍内血管構築像と、クッパ-相での欠損部画像化により質的診断を得る、というように画像評価方法が確立されている。一方、乳癌でのマイクロバブル造影超音波の診断基準は血管構築の形態による基準があるのみで、今後の課題となっている。 拡散強調画像は間質の水の動きを定量化できる技術であり、乳腺腫瘍の良悪性の鑑別や組織学的grade分類に有用であることが報告されている(Mori N et.al. European Radiology 2013)が、間質の定量との比較や血管新生の程度との関連についての報告はない。機能 MRIは脳や腫瘍の機能を定量化し計算画像を作成できる方法で、その一つのBOLD(Blood oxygenation level dependent)法は組織の低酸素状態を定量化できる。 本研究の目的は、マイクロバブル造影超音波による血管密度定量とMRIでの間質、低酸素状態の定量の融合により腫瘍微小環境を推定し、乳癌の診断、治療効果判定、新規薬剤開発への実用化を進めることである。具体的には(1)造影超音波での血管密度定量と病理での腫瘍新生血管の対比、(2)MRI拡散強調画像での間質密度定量、BOLD(Blood oxygenation level dependent)法による低酸素定量と病理の対比、(3) 造影超音波とMRI画像の融合技術の開発、(4) 乳癌の診断、治療における融合画像の有用性の確認、を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ、66例の症例において、乳癌術前検査としてMRIと造影超音波を施行した。造影超音波定量解析における面積比と病理組織学的血管密度の対比を行った。66例中13例は術前化学療法後、13例は非浸潤性乳管癌であるため除外した。40例は未治療で手術を行った浸潤癌症例であるため、対象となった。拡散強調画像からADC値と還流に相当するFを測定した。造影超音波からは面積比を測定した。拡散強調画像からのパラメータは病理組織学的血管密度との有意な関連性は認めなかったが、造影超音波面積比は血管密度と有意に相関することが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は造影超音波の面積比取得の至適タイミングについて検証する予定である。現在、造影剤注射後75秒間の連続画像取得を行い、25から35秒のピーク時と50-75秒の遅延相のいずれの面積比も血管密度と相関することが確認されている。遅延相での撮像は造影剤の減衰を伴うものの、ある程度のプラトーが保たれているようであり、血管密度と相関するという結果は、臨床的に非常に有用である。遅延相の撮像をさらに追加し、どのタイミングまで血管密度推測のために有効なのかを検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は症例の集積と解析を主体に行ったが、同意をとれる症例が予想より少なく、次年度使用額が残った。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度、MRIで新たな方法BOLD法を撮像し、画像解析ソフトの購入などに使用する予定である。
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