研究課題
心血管MRIの急速な革新により、3テスラMRI装置を用いて、重要な組織特性である心筋T1値定量を非侵襲的に測定することが可能となっている。我々は、虚血性心疾患患者を中心に、心筋T1値を計測し、リスクサイズや心筋梗塞サイズとの関連を検討した。年齢・性別をマッチさせた急性心筋梗塞群、陳旧性心筋梗塞群、正常群各17人を対象に、遅延造影MRI、T2強調画像(急性心筋梗塞群のみ)、MOLLI法によるT1マッピングを撮影し心筋細胞外液分画を計測した。正常群では、細胞外液分画と年齢に強い相関を認めた(r=0.69)。年齢補正した非梗塞心筋の細胞外液分画と心筋T1値は正常群と比べ急性心筋梗塞群で有意に増加していたが(p=0.02、p=0.002)、急性心筋梗塞群と陳旧性心筋梗塞群間では有意差はなかった (p>0.99)。また、急性心筋梗塞群の非梗塞心筋ECVはリスクサイズと中等度に(r=0.51)、梗塞サイズとは弱い(r=0.39)相関を認められ、急性心筋梗塞患者の非梗塞心筋における細胞外液分画は正常群と比較し増加しており、T2強調画像のリスクサイズと相関することが示された。また、細胞外液分画と心筋T1値は、組織学的な線維化の指標と良好に相関することが示され、心筋梗塞診断のゴールドスタンダードと考えられている遅延造影MRIとの比較において、非造影心筋T1値は梗塞を高い正確性を持って検出できることがわかった。3テスラ装置を用いた心臓MRIにおける心筋T1値は、虚血性心疾患患者において心筋梗塞領域の組織性状を反映する指標として有用であることが示された。
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