研究課題/領域番号 |
26461788
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木戸 晶 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80595710)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | MRI / 胎盤 / 胎児 |
研究実績の概要 |
本研究は、正常及び異常胎盤の娩出前後のMRI画像と病理所見を比較検討することにより、胎盤機能を画像から推定し、胎児の経過・予後の推定とその治療を含めた対処に対する画像の指標を求める、ことを目的とした。昨年度は、娩出胎盤のMRI撮像については、やはり異常例は少なかったが、正常胎盤とあわせて10例程度施行した。娩出胎盤の撮像は終了したが、解析は今後行っていく予定としている。 生体の胎盤評価については、まず、T2強調像の高速撮像法であるHASTE法と呼ばれる撮像法で胎盤の信号強度と胎児の発育状態の関係について検討を行った。発育不全の認められる胎児において胎盤の信号は正常に比べて低信号を呈し、またその像は規則的なパターンを示していることが明らかとなった。MRで認められる低信号のパターンは、解剖学的には胎盤のcotyldonと呼ばれる血流交換の単位の構造と極めて類似していることから、MRの異常信号は血流の低下を反映している可能性が視差された。本内容は2例の症例報告として報告した。この結果をふまえて、後方視的にこれまで当院で撮像された胎児MRIと胎児の発意行く状態についての相関をHASTE法における胎盤内の低信号の容積(面積)により分類する試みを現在行っている。結果がまとまり次第、学会、論文にて報告する予定である。 また、現在胎盤の機能を定量的に画像で評価する際の基準としてはT2値を用いることが論文上ではコンセンサスが得られている。しかし、T2値を得るためには、複数のTE(echo time)を用いた撮像が必要であり、撮像後に計算処理を改めて行う必要があるため、手間と時間を要する。これを上記HASTE法で代用することが可能か、またいずれの臓器を信号の対照として信号計測を行うことで再現性高い値を得られるか、過去の画像を用いた検討を開始しており、こちらについても今後結果がまとまり次第報告する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生体内の胎盤評価に関する検討は進捗したが、娩出胎盤については撮像は終了したが解析は今後着手することになるため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は、生体の胎盤の定性評価を行うための、基礎データを報告できたので、上記にも記したが、今後は過去画像から多数の症例を用いた胎盤の定性評価と胎児発育の相関についての検討をまとめ、学会・論文に発表する。また定量評価についても同様に、現在、計測中のデータをまとめ、順次結果を学会、論文へ報告する。 さらに、撮像を終了した娩出胎盤のMRI画像については、遅れがあるため、速やかに着手し、当初の予定に従って、T2強調像、拡散強調像の定性、定量評価を試みる。 具体的に、正常胎盤では、正常での生体内外の胎盤の変化を確認し、どのような変化が認められるか、そのコントロールとなる所見を明らかにする。病理で異常所見が認められた場合、まず、病理所見とそれに対応する娩出胎盤のMR所見を確認し、所見を明らかにする。更に、それが生体内の胎盤MR画像ではどのように認められることになるのか、上記正常変化を基準として、所見とその意味を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
上にも記したが、生体内の胎盤評価に関する検討は進捗したが、まだ学会、論文への発表は今後計画しており、そのための旅費等の発生が予想される。また、娩出胎盤について、撮像は終了したが、解析は今後着手することになる。その解析の費用、学会・論文への発表に関わる費用は今後発生することになるため。
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次年度使用額の使用計画 |
解析のためのソフト購入費用、解析相談費用 学会、論文掲載のための費用
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