研究課題
本研究の目的は、ヘリカルCT から得られたボリュームデータとコンピュータ支援画像診断(computer assisted diagnosis:CAD)の最新技術を駆使して、肺腫瘍の三次元体積を測定することにより腫瘍縮小効果を正確に評価し、非小細胞肺癌の客観的治療効果判定法を検討することを目的とする。当該年度に実施した研究の成果としては、研究実施計画に従ってまず非小細胞肺癌病変の連続ボリュームCT データの取得を開始した。抗がん剤治療中の非小細胞肺癌症例約50例を対象に治療前・1コース治療毎・治療終了後にCT を撮影した。CT 装置は大阪大学医学部附属病院に設置されている検出器64 列以上のマルチスライスCT(GE ヘルスケア株式会社製、あるいは東芝メディカル株式会社製)を用いた。撮影条件は電圧120KV、電流はCT 装置に内蔵されている自動被曝低減システムを用いて被曝線量を低減した。腫瘍全体を0.625mm 以下の薄いスライス厚で撮影して、腫瘤全体の連続画像を取得した。得られたボリュームデータはPACS システムを介して、サーバーに保管した。サーバーから3D ワークステーション(GE ヘルスケア株式会社)に上記で取得したボリュームデータを全例転送し、ワークステーションに実装されている肺結節解析ソフト(Lung VCAR)を用いて、腫瘤体積の三次元的測定を開始した。測定はそれぞれ3人の放射線科医で行い、腫瘤平均体積・標準偏差を計算した。
3: やや遅れている
症例の蓄積やデータの解析に予想以上の時間がかかっているため。しかし、次年度において、予定症例数を確保できる見込みである。また、次年度にはデータの解析に多くの時間を確保する予定である。
今後も症例の蓄積やデータの解析を進める。具体的には 上記症例に対して治療前・1コース治療毎・治療終了後に撮影されたCT 画像からRECIST 1.1に準じて腫瘍最大径を計測する。次に、腫瘤が球形であると仮定し、腫瘍最大径を直径として腫瘤の体積を計算する。このデータを三次元的体積測定法にて計算された結果と対比し、それぞれの症例において両測定の体積差を計算し、検討する。治療効果判定においても両測定法を対比する。まず、治療経過中に撮影されたCT画像からRECIST 1.1 に基づいて腫瘍最大径を計測し、治療効果判定を行う。また上述の腫瘍形態が球形であるという仮定を治療効果判定にも適応し、RECIST 1.1 を参考に新たに定義した三次元的体積測定法での治療効果評価に基づいて、治療経過中に撮影されたCT画像から三次元的体積測定法にて計算された体積から治療効果を判定する。最後に両測定法による治療効果判定を対比・検討する。
症例の蓄積に予想以上の時間がかかり、データ処理用のパソコンの購入を次年度に延期したため。
データ処理用のパソコンを購入する。
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Radiology
巻: 272 ページ: 557-67