平成28年度は、前年度までに確立したMTANNによる低線量画像修復技術を用いて仮想通常線量画像(“virtual” higher-dose)と標準線量画像の2者において、放射線診断専門医による肺腫瘍の検出能についてreceiver-operating-characteristic (ROC)解析を実施し、診断能の検討を行った。 肺癌検診で標準線量CT(約2.0mSv)と低線量CT(約0.2mSv)が撮影され、結節を有する22人と有さない20人(計42人)を対象とした。結節を有する22人は1 または2結節有しており、計24.結節を有していた。結節のサイズは6-27mmであった。超低線量CT画像はMTANNにより低線量画像修復を行い、仮想通常線量画像を作成した。3人の放射線診断専門医が標準線量画像と仮想通常線量画像をランダムに読影し、receiver-operating-characteristic (ROC)解析を用いて肺腫瘍の検出能を検討した。 結果は平均のarea under the ROC curve(AUC)値はそれぞれ標準線量画像で0.84 ± 0.02 (standard deviation)、仮想通常線量画像で0.86 ± 0.05であり、両者には有意差は認められなかった。 仮想通常線量画像の肺腫瘍検出能は標準線量画像のそれと同等の結果となった。これにより被曝線量を約90%軽減できる可能性がある。
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