本研究の目的はdual-energy法で撮影された肺灌流CTの容積を用いて肺血栓塞栓症の重症度を半自動的に評価することである。平成26年度は主に症例集積、平成27年度は肺灌流CTの解析、画像評価、検査の整合性評価、平成28年度は、統計処理、論文作成を行った。 肺灌流CTの解析としては、得られた肺灌流CTをAZE workstation (AZE VirtualPlace)を用いて3次元的に再構成し、全体の灌流像(1-120HU)のvolumeデータをV120とし、至適な肺灌流像の閾値を設定するため、1-2HU(V2)、1-3HU(V3)、1-4HU(V4)、1-5HU(V5)、1-6HU(V6)、1-7HU(V7)、1-8HU(V8)、1-9HU(V9)、1-10HU(V10)を絶対値とし、全肺灌流であるV120で割った相対値を%V2、%V3、%V4、%V5、%V6、%V7、%V8、%V9、%V10とし、低灌流域を算出した。 肺血栓塞栓症の重症度因子として、①D-dimer、②肺動脈圧、③心拍出量、④CTより得られた右室径、⑤肺動脈径、⑥右室/左室径の比、⑦肺動脈内血栓の分布状態を数値化した値(CT obstruction score)のデータが得られた。肺動脈内血栓は造影CTで肺動脈内造影欠損域として認められ、各区域において、0=欠損なし、1=部分欠損、2=完全閉塞としてスコア化した。 %V2が最も高いAUC値(0.783)となり、CT obstruction score(r=0.36、p=0.005)および右室/左室径の比(r=0.36、p=0.004)と中等度の関連を示した。%V2が肺血栓塞栓症の重症度評価に有用であると考えられる。 この研究結果は、Acta Radiologica (2017 Epub ahead of print)に掲載された。
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