研究課題
昨年度に引き続き、仮想注腸画像の側面変形の定量的評価による大腸癌の深達度診断について、早期大腸癌37例(粘膜内癌16例、粘膜下層浸潤癌21例)を隆起型と表面型に分けてさらなる詳細な検討を行った。cross-sectional MPR画像を併用して、隆起型と表面型それぞれの形態に基づく幾何学的要素を考慮した側面変形の定量的評価を行い、側面変形比を求めた。結果として、粘膜内癌と粘膜下層浸潤癌の鑑別に関しては従来の定性的評価に比して深達度診断の正診率の向上が得られた(隆起型100%、平坦型88%)。病変が大腸のひだ上に存在する場合は、cross-sectional MPR画像を併用しても仮想注腸画像の側面変形における大腸癌の幾何学的要素を定量的に予測することが困難であったが、仮想注腸画像上のひだの開大度を定量的に評価することによって、早期大腸癌の深達度診断の高い正診率が得られた(粘膜内癌は100%、粘膜下層浸潤癌は83%)。さらに、進行大腸癌についても早期大腸癌と同様の方法にて深達度診断の定量的評価の検討を行った。結果として、進行大腸癌と粘膜下層浸潤癌の側面変形比は同等の値を示し、両者の間の側面変形比の値に有意差は認めなかった。また、病変のサイズが管腔の半周を超えるような大きな進行癌については、側面変形の幾何学的要素を正確に評価することは困難であった。以上の結果より、側面変形比による定量的評価は早期大腸癌、すなわち粘膜内癌と粘膜下層癌との鑑別に有用であると考えられた。一方、側面変形比を用いた大腸癌の転移、再発の予測についての検討も行ったが、今回の研究期間においては側面変形比による定量的評価では転移、再発を予測することができず、側面変形の定量的評価が大腸癌の転移、再発の予測因子となりうるかどうかについては今後のさらなる検討が必要であると考えられた。
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Japanese journal of radiology
巻: 34 ページ: 786-794
10.1007/s11604-016-0586-7