研究課題/領域番号 |
26461799
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
幸 秀明 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (90710434)
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研究分担者 |
宇都宮 大輔 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 准教授 (30571046)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 心臓CT / 逐次近似再構成 |
研究実績の概要 |
心臓 CT は非侵襲的に冠動脈疾患を評価できるため、臨床におけるその需要は年々増加している。しかし、冠動脈疾患を有する患者では、繰り返し心臓CTや血管造影での評価が必要なことも多く、被ばくの低減が重要となる。モデル型 IR 法と低管電圧撮影を用いた冠動脈 CT では、画質向上、放射線被ばく低減が可能である。また、冠動脈疾患を有する患者では、腎機能が低下した患者が多く、引き続き治療で造影剤を使用する可能性もあり、造影剤の減量が問題となる臨床症例にも多く遭遇する。低管電圧CTでの撮影では、造影剤による増強効果を高めることができるという利点もあり、造影剤の減量という効果も期待できる。 本年は心臓動態ファントムを用いた基礎実験を行い、FBP 法とハイブリッド型 IR 法、モデル型 IR 法のそれぞれで画像を作成し、画質(アーチファクト、ノイズ、コントラスト分解能等)に与える影響を明らかにした。コントラスト分解能については高コントラストと低コントラストの分解能についてその影響を明らかにした。臨床的には、心臓 3D-CT が必要と考えられた患者(約20名)に対して心臓 3D-CT の生データを利用して従来の FBP 法とハイブリッド型 IR 法、モデル型 IR 法のそれぞれで画像を作成し、画質評価を行い画質に与える影響を明らかにした。同時に冠動脈の診断能に対する影響についても検討し、学会や論文で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年は、当初の予定どうりモデル型 IR 法の臨床応用へ向けた最適化をファントム実験により明らかにし、臨床予備研究を終了させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
Society of Cardiovascular Society(SCCT)のガイドラインに準じてAppropriate criteria に適合する患者で心臓 CT を受ける予定の患者に対して臨床研究を遂行する。得られた心臓 CT データは複数の拡張期時相で再構成し、FBP 法、ハイブリッド IR 法、モデル型 IR 法にて血管鮮鋭度、アーチファクトを定性的に評価し、コントラスト・ノイズ比、画像ノイズ値を定量的に比較する。また、冠動脈プラークを有する患者についてはプラーク描出能をそれぞれの画像再構成法において行い、血管造影・IVUS 所見との比較・評価することで最終的にモデル型 IR 法の冠動脈プラーク評価に与える影響について解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
データの入力、集計、解析に使用する専用のワークステーションの台数を当初の予定より減らしていることで当該助成金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
専用のワークステーションを追加購入する予定である。また必要なソフトの購入、貴重なデータの光ディスク、ハードディスクでの保存、活用に使用する予定である。
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