心臓CTは非侵襲的に冠動脈疾患を評価できるため、臨床におけるその需要は年々増加している。その一方で、X線被ばく量が多いことが大きな問題であり、X線被ばく低減は重要な課題のひとつである。また、患者にとって不利益とならないように画質も保証される必要がある。近年、冠動脈CTにおける画像再構成に逐次近似再構成法(iterative reconstruction: IR)が臨床応用可能となってきており、CTの画質が向上してきている。我々は低管電圧撮影とIRの併用にて効果的にCTの被ばく低減に努め、X線被ばく低減と良好な画質の両立が可能であることを報告している。しかし、現状は古典的なfiltered back projection (FBP)法とIR法のハイブリッド型による再構成であり、“真”のIR法ではない。モデル型IR法は“真”のIR法と考えられ、理論的には70~80%の被ばく低減も可能と考えられる。しかし、その臨床的評価についてはまだ十分とはいえない。本研究により、最新のCT画像処理技術であるモデル型逐次近似再構成法を使用した低線量冠動脈CTでの、画像特性を基礎的・臨床的に明らかにした。また、画質改善、被ばくの低減、造影剤の減量の可能性について検討した。冠動脈病変の質的評価に貢献する画質の提供が可能であることを示した。その研究成果はJournal of Cardiovascular Computed Tomographyに採択された(.J Cardiovasc Comput Tomogr. 2014 Mar-Apr;8(2):115-23.)。
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