研究課題
動脈スピンラベリング(arterial spin labeling:ASL)を用いた経時的MR血管撮影(MR angiography: MRA)は最近注目されているMRIの技術で、造影剤を使用せずにdigital subtraction angiography(DSA)のような高い時間分解能で脳血管を描出可能である。この手法の中で時系列カラー表示ASL-MRAは最先端の技術であるが、その基本性能や臨床応用についてはまだ不明である。この研究の目的は、本研究の研究協力者が開発したASL-MRAを健常ボランティアや様々な脳疾患(脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻、動脈閉塞性疾患)に対して応用し、その有用性を検討した。健常ボランティアでのASL-MRAの検討では、内頚動脈は椎骨脳底動脈系より早期に描出された。過去の超音波を用いた報告で内頚動脈は椎骨脳底動脈系より流速が速いことが判明しているが、今回の結果と一致している。脳動静脈奇形に対するASL-MRAとDSAを比較した検討では、流入動脈、流出静脈、ナイダスのサイズの評価においてDSAにはやや劣るがかなり高い診断能があることが判明した。硬膜動静脈瘻に対するASL-MRAとDSAを比較した検討では、流入動脈、流出静脈のタイプ、動静脈瘻の位置の評価においてDSAにはやや劣るがかなり高い診断能があることが明かになった。頚部内頚動脈の閉塞性疾患へのASL-MRAを応用した検討では、側副血行路の評価にある程度有用性があることが明らかになった。これらの得られた結果は英文誌に投稿し、幾つかが採択された。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
J Comput Assist Tomogr
巻: 40 ページ: 290-296
10.1097/RCT.0000000000000346.
Magn Reson Med Sci.
巻: 15 ページ: 335-339
10.2463/mrms.tn.2015-0081.