研究課題/領域番号 |
26461801
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
島本 直人(鹿野直人) 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (80295435)
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研究分担者 |
大西 健 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (50152195)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | がん幹細胞 / CD133 / 放射性人工アミノ酸 / リポソーム / 脳腫瘍 / グリオーマ細胞株 / 分子イメージング / 核医学 |
研究実績の概要 |
がん組織は単一な細胞集団ではなく、その一部にがん組織を再構築させる能力を持った細胞(がん幹細胞)が存在し、一部の細胞から階層性のある細胞集団としてのがん組織が構築されていると言われている。CD133発現がん幹細胞放射性イメージング剤の開発を目的として、その手始めに蛍光色素を封入したCD133認識リポソームの開発に着手した。脂質組成をDPPC/DPPE/DCP/GM3/Cholesterol(30/5/5/30/30, mol比)のリポソームの表面にCD133AC133抗体をコーティングしたものを作製し、CD133過剰発ヒトグリオブラストーマ株化細胞T98Gに取り込ませインビトロで評価した。グリオブラストーマは、平均生存期間1年程度、5年生存率10%以下と体内全腫瘍の中でも最も予後が悪く、治療成績は数十年間にわたり顕著な改善がないとされている。 今回作製したリポソームは、細胞への取込が悪く製造方法の見直しが必要であった。今後、CD133標的指向性のあるリポソームの調整法の確立を行う必要がある。また、スフェアアッセイしたT98Gについては、セルソーターを利用してCD133発現細胞を単離する方法を確立できた。今後、悪性度が高いと言われているグリオーマ、グリオブラストーマ等由来のセルラインについてスフィアアッセイから単離、もしくはCD133遺伝子導入により高発現したCD133発現細胞の形態変化、遊走性の変化などと放射性天然アミノ酸とその光学異性体、および申請者らが開発している放射性人工アミノ酸の細胞集積との関係を基礎的に調べ、インビボでのノウハウを開発し、すでに広く一般に普及しているSPECTのための診断薬の開発につなげる事が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回作製したリポソームが、細胞への取込が悪く、表面へのCD133抗体結合の条件等を含め製造方法の見直しが必要であったため。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、ヒトグリオブラストーマ株化細胞T98Gなどについて、セルソーターを利用してCD133発現細胞を単離する方法を確立した。平成27年度は、CD133過剰発現法およびスフェアアッセイ法から得た細胞を共同研究者の大西らより提供を受け、中性アミノ酸トランスポーターの発現をリアルタイムPCRなどにより、RNAレベルでも確認する。CD133標的指向性のあるリポソームの調整法の確立を行う。平成28年度は、上記の検討を引き続き実施するとともに、良好な成績をおさめた方法に関しては、担癌マウスでの画像化を含めた詳細な検討に移行する。なお、平成27年度以降の欄で記した疾患モデル動物を用いた検討およびオートラジオグラフィーでの画像化等に関しては、一部前倒しして行なうことがある。
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次年度使用額が生じた理由 |
今回作製したリポソームは、細胞への取込が悪く製造方法の見直しが必要であるため、前年度は、それ以降のリポソームを用いた研究が進捗せず、したがって消耗品も購入しなかった。前年度に進捗しなかった分の研究計画実施を平成27年度に実施するための必要な額である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に達成できなかったCD133標的指向性のあるリポソームの調整法の確立を行う必要がある。さらに、CD133過剰発現法およびスフェアアッセイ法から得た細胞を共同研究者の大西らより提供を受け、中性アミノ酸トランスポーターの発現をリアルタイムPCRなどにより、RNAレベルでも確認する。そのための消耗品の購入を予定している。
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