研究課題/領域番号 |
26461802
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
大倉 一枝 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (60094827)
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研究分担者 |
久下 裕司 北海道大学, アイソトープ総合センター, 教授 (70321958)
河嶋 秀和 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (70359438)
趙 松吉 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80374239)
秋澤 宏行 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (90311795)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 核医学診断 / 放射線 / 腫瘍 / チミジンホスホリラーゼ |
研究実績の概要 |
放射性ヨウ素標識IIMUは担がん動物のSPECTにおいて、チミジンホスホリラーゼ(TP)の発現の高いヒト皮膚がんなどへの高い集積が認められ、その有効性が検証されている。しかしながら生理的にTP発現の高い肝臓に対する集積の高さが腫瘍イメージング剤としての限界を示している。平成27年度は、前年度に引き続き、TP高発現がん細胞と生理的にTPを発現している肝臓について、放射性ヨウ素標識IIMU取込み過程の差異を詳細に調べた。IIMUの腫瘍と肝臓への集積はいずれもTPに特異的な結合に起因することはすでに明らかにされている。有機カチオントランスポーター(OCT)の関与については、がん細胞A431を用い、OCTアンタゴニストとして知られるcimetidineとIIMUを同時にインキュベーションし、2時間後その取込みを測定したところ、cimetidineの容量依存的にIIMUの取込み量の低下を認めた。がん細胞へのIIMU取込みにおけるOCTの関与は明らかであるのに対し、肝臓では複雑な結果を示した。肝臓への取込みについては、正常マウスを用い、放射性IIMUに対してcimetidineを前投与または同時投与し、投与後3時間でIIMUの放射能の組織分布を求めた。その結果、cimetidine存在下ではIIMUの取込み量は肝臓で増加し、小腸で減少した。cimetidine により胆汁排泄にかかるトランスポーターも阻害されたため、IIMUの肝臓からの排泄が低下したという可能性が考えられた。cimetidineに替えてquinineを用いた実験も行ったが、同様の結果を与えた。 肝臓への放射能集積の低減化を目指した薬剤については、新規放射性ヨウ素標識体の合成を実施し、標識化の再現性、薬剤の安定化を詳細に検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新規薬剤の放射性ヨウ素標識が難しく、その合成法の確立と安定性の検討が不十分であることによる。
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今後の研究の推進方策 |
新規薬剤の放射性ヨウ素標識合成法を確立し、がん細胞への取込み実験を実施する。 放射性IIMUについては、種々のがん細胞におけるTP発現と取込みの関係を幅広く検討し、IIMUのイメージング剤としての適用範囲を明らかにしていく。
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