研究課題/領域番号 |
26461803
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
吉岡 邦浩 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70210648)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 冠動脈 / 石灰化 / CT / サブトラクション |
研究実績の概要 |
1.冠動脈CTは虚血性心疾患の非侵襲的診断法の一つとして大きな役割を担っている。その一方で、冠動脈CTは低~中等度リスク群においては高い診断精度を有するものの、高リスク群では必ずしも高くないことが明らかとなった。その主たる原因は冠動脈の高度石灰化にあることが判明しているが現時点では有効な方策は存在しない。本研究では冠動脈に高度石灰化を有する可能性の高い高リスクの症例に対しても高い診断精度を担保できる新しい画像診断方法を研究開発する。 2.CT装置は現有する第二世代の320列CTを使用した。高度石灰化の対策として、まずサブトラクション法に取り組んだ。冠動脈ファントムを用いて撮影実験を繰り返し、被ばくの低減を含めた撮影条件の最適化を行った。同時に、冠動脈サブトラクション用に開発したアルゴリズム(剛体法と非剛体法)を用いてサブトラクション方法の最適化を行った。その結果、被ばくは概ね3~5ミリシーベルト(単純と造影の2回の撮影の合計)であることが判明した。画像再構成はフル再構成法がハーフ再構成法と比較して、画質やアーチファクトの低減の面でも有利であることが明らかとなり、実際の撮影に当たっては心拍数の制御が重要であることが判明した。 3.虚血性心疾患を有し、かつ冠動脈石灰化スコアが400以上の高度石灰化が存在する症例に対して、サブトラクションCTを実施した。撮影法としては(1)2呼吸法、(2)テスト注入法による1呼吸法、(3)ボーラストラッキング法による1呼吸法の3つの方法を試みた。 4.テスト注入法(1呼吸法)を行った症例のなかで、冠動脈造影との比較が可能であった20症例を対象としてサブトラクション法の狭窄性病変に対する診断精度の評価を実施した。 5.これらの研究成果の一部を従来からの研究結果も加えて国際雑誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1.基礎的実験が順調に進捗し、被ばくの低減を含む撮影法の最適化やサブトラクション手法の検討が予定よりも短期間で終了できた。 2.これを受けて、当初計画より早い時期から臨床例での検討を開始することができた。加えて対象となる症例の蓄積も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1.初年度の研究成果等をまとめて国際雑誌に投稿した英文論文の早期の掲載を目指す。 2.テスト注入法よりも実施が容易なボーラストラッキング法による1呼吸法を用いた冠動脈サブトラクションCTを実施し、症例の蓄積を行うとともに、診断精度の評価を行い論文化を目指す。 3.狭窄性病変の診断精度を向上する手法として近年注目されているTAG(Transluminal Attenuatin Gradient)法の検討を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ当初計画どおりに使用できたが、購入を予定していたソフトウエアの一部が近くバージョンアップされることが分かったため、それを待ってから購入する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
1.新たに開始する臨床研究用の画像処理とデータ整理に使用するコンピュータとソフトウエアを購入する。2.研究データの取得、保存ならびに整理に使用する電子媒体や文房具に使用する。
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