研究課題
多発性硬化症(MS)病変の評価における磁化率画像法の有用性について検討した。MS患者について、磁化率画像法として、ミエリン濃度を評価できるphase difference enhanced imaging:PADRE)と組織の磁化率を定量的に評価できるquantitative susceptibility mapping:QSM)を用いて撮像した。PADREの検討では、皮質および皮質近傍(juxtacortical region)のMSプラークを対象に読影実験を行った。読影実験では、MSプラークの局在により、皮質直下白質病変、皮質内病変。 皮質/白質混合病変の3つに分類し、1)通常のMRIのみの読影と2)PADREを加えての読影について、MSプラークの検出率について比較した。QSMの検討では、径1cm以上のMSプラークを対象として、通常のMRI検査で異常を認めない大脳白質(normal‐appearing white matter: NAWM)について調べた。実際には、MSプラーク、MSプラーク周囲のNAWM(病変周囲NAWM)、対照群正常白質、にそれぞれ関心領域を設定しQSM値を計測した。結果、皮質/白質混合病変は、通常のMRI画像のみの読影と比べ、PADREを加えた読影で有意に多かった。また通常のMR画像のみの読影で皮質直下白質病変と診断された病変の多くが、PADREを加えた読影で皮質/白質混合病変と診断された。この結果は、通常の画像で皮質直下白質病変と診断される病変の多くに皮質病変が含まれていることを示しており、PADREは皮質病変の評価に有用であることが示唆される。QSMの検討では、対照群正常白質に比べ、MSプラークと病変周囲NAWMの値は有意に高かった。この結果は、磁化率画像法を用いたMR画像により、従来困難であった多発性硬化症病変の広がりを性格に評価できる可能性を示唆する。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Acta Radiol.
巻: in press ページ: in press
10.1177/0284185116669872.
Magn Reson Med Sci.
巻: 15 ページ: 349
10.2463/mrms.mp.2015-0099
巻: 57 ページ: 1380
10.1177/0284185115585162