研究課題/領域番号 |
26461812
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
須郷 由美 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究副主幹 (90354836)
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研究分担者 |
大島 康宏 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究員 (00588676)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Cu-64 / がん細胞 / 体内動態 |
研究実績の概要 |
ヒトの必須微量元素のひとつでもある銅の放射性同位体のうちCu-64は、半減期が比較的長く医療用小型サイクロトロンでも製造可能なポジトロン放出核種であることから、PETイメージング薬剤への利用が大いに期待されている。本研究では、従来の標識反応を必要とせずにフリーのCu-64イオンをそのままイメージング薬剤として利用する簡便ながん診断用PETイメージング法の開発を目的とする。 今年度は、前年度に引き続き各種がん細胞を用いたCu-64イオンの細胞実験を実施した上で、特異的な集積が認められたがん細胞を移植したマウスを用いてCu-64の体内動態を解析した。 緩衝液中およびウシ胎仔血清を含む培地中の両者で、各種がん細胞へのCu-64イオンの集積性を評価した結果、それぞれ異なる結果が得られた。生体成分により近い培地中でCu-64が高く集積した脳腫瘍および大腸がん由来のがん細胞をそれぞれマウスの皮下に移植し、担がんマウスを作製した。サイクロトロンで製造したCu-64イオンを尾静脈から投与し、一定時間経過した後の血液を採取するとともにマウスを解剖し、がん組織、心臓、肺、肝臓、脳、腎臓等の各臓器への集積を放射能測定により分析した。その結果、肝臓への高い集積が認められたものの、細胞実験での結果を反映して動物実験でもCu-64ががん組織に高く集積することが明らかとなり、がんのイメージング薬剤としての有用性を示唆できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
担がんマウスにおけるCu-64の体内動態解析の結果から、PETイメージング薬剤としてのCu-64イオンの有用性を示唆することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、生体内におけるCu-64の化学形の変化、および銅トランスポーターの関与等を検討することで、Cu-64のがん細胞への集積機序を明らかにする。また、体内動態の解析結果より、がん以外に高い集積が認められた肝臓から、選択的にCu-64を排出させることのできるキレート剤等の薬剤を探索し、がん特異性の向上を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度同様に価格が高騰した濃縮ターゲットの購入を見送らざるを得ず、動物実験用マウスや実験機材等消耗品の購入に充てたため。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度の研究経費については、RI取り扱いおよび動物実験に必要な機材の購入に充てるほか、Cu-64の製造に必要な濃縮ターゲットの購入に使用する計画である。
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