本研究では,標的物質の遠隔調製,並びに照射後,目的物質を遠隔的に回収可能とする新たな標的容器の開発を試みた。標的容器を構成する一部品について,銀で製作される母体へ化学的に不活性な金属表面(金)を熱間圧着法で形成し,当該部位へ標的物質を遠隔的に電着することを可能にした。一例として,12 MeVの陽子ビームを利用したnat(58)Ni(p,alpha)55Co反応において,期待される理論値の82%に相当する55Coを遠隔的に得ることが出来た。この結果,放射性核種の製造に関わる一連の工程を遠隔的に実施することに成功した。
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