研究課題
本研究は近年登場した新規大腸モダリティである大腸カプセル内視鏡およびCTコロノグラフィーの感度を明らかにすることを目的とする。特に、悪性度が高いにも関わらずその発見が困難とされる平坦型腫瘍に着目した。我々の検討で、66症例に施行した大腸カプセル内視鏡の6mm以上の大腸腫瘍に対する感度は94%(n=62)と良好な結果であった。副次的解析で平坦型腫瘍の精度についても検討した。大腸カプセル内視鏡の全大腸内視鏡検査に対するポリープ発見比率は、隆起型腫瘍が1.43(165/115)であるのに対し、平坦型腫瘍は1.58(82/52)と、むしろ平坦型腫瘍の方が発見能が高い傾向にあることが示された。これは、大腸カプセル内視鏡は、その両端にカメラが搭載されているため、大腸のケルクリング襞の裏に隠れているような大腸腫瘍をもれなくきちんと拾い上げることができるためと考えられる。大腸カプセル内視鏡の両端にカメラが搭載されていることの意義については、さらに検討を加えた。具体的には、大腸腫瘍が両方のカメラでとらえられているのか、あるいは片方だけでとらえられているのかを、ポリープベースにして集計した。大腸カプセル内視鏡の両端にカメラが搭載されていることで、隆起型病変の検出能が1.3-1.5倍向上するのに対し、平坦型病変の検出能は1.6-1.8倍も向上することが証明された。この結果は大腸カプセル内視鏡の平坦型病変に対する精度が高いことの裏づけデータとして興味深い。また、我々は受容性向上の観点から夜間にカプセルを大腸内で進ませる方法を考案し実施した。さらに、カプセル内視鏡の安全性についても再確認できた。一方、CTコロノグラフィーについては平坦型腫瘍の検出能が劣っていた。この3年間で進めることができた研究成果を、さらに今後の研究につなげていく。
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