研究課題/領域番号 |
26461818
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岡本 嘉一 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90420083)
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研究分担者 |
磯辺 智範 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70383643)
宮川 俊平 筑波大学, 体育系, 教授 (10200130)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 拡散制限因子 / 細胞内脂肪 / 骨格筋血流 |
研究実績の概要 |
平成26年度はMRIの拡散強調画像を応用したIVIMという方法や、BOLDと呼ばれる方法で骨格筋の血流をよりリアルタイムに計測できないか、という実験検証を行った。そのためには人体の血管を圧迫するための特殊なデバイスが必要であり、研究費にて作成したデバイスで血流の変化を捉える実験を何度も行った。しかし平成26年度中には考えたような結果がでなかった。一方でこれらの方法での血流評価方法の限界もわかっため、平成27年度はNIRSと呼ばれる近赤外線を使った方法を応用して再度人体骨格筋の血流定量を試みる予定である。 一方で、拡散テンソルという技術を応用した人体骨格筋の微小解剖を評価する研究では、骨格筋細胞内における細胞内脂肪と拡散制限因子に関する重要な知見が得られ、細胞内脂肪も拡散制限因子となりうる可能性が示唆された。この発見は今後のアスリートの骨格筋のコンディションを拡散テンソルで評価するうえでは重要な事実であり、研究全体のすすめ方(特に被験者の選抜。骨格筋細胞内脂肪が多い長距離走の選手にはこの技術が応用できない可能性が示唆されること)に大きな影響がでる可能性がある知見が得られた。 これは平成26年度末に査読のある国際学会にエントリーし、発表の機会が得られたため平成27年度に発表(国際磁気共鳴医学会)を行う予定である。 現時点ではほぼ拡散強調画像、拡散テンソル画像を用いれば骨格筋細胞の形態学的評価が可能と考えており、今後は上述の血流の評価を確立することが最終目標である「アスリートの筋コンディショニング」にたどりつくキーポイントになると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MRIというひとつのモダリティで多角的に骨格筋を評価することが最終的な目的だが、その項目のうち、微小解剖を評価する方法はほぼ確立された。 代謝の評価は解析ソフトを購入すれば実現できるものであり、残る骨格筋血流の評価が当初の計画では行えなかったが、それによる限界もわかり、代替手段も発案できており、概ね順調に計画が進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度達成できなかった骨格筋の筋細胞の血流をいかにMRIでリアルタイムに評価できるかが当面の課題である。これをクリアできた場合、骨格筋を微小解剖、代謝、筋血流の三方向から評価することができる。また当初研究計画策定時には撮影することができなかったT2mapやT1rho といった方法もなんらかの骨格筋の要素(硬さや浮腫)を反映している可能性が高いと考えており、これらの検証も今年度中に行いたい。これらが達成できれば最終年度は実際のアスリートを使ったコンディショニングの研究実験(最終段階)へ移行することができる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は二度国際学会にエントリーし、そこで研究成果の一部を発表する予定であったが、二度とも落選してしまった。また実験のため作成した工作器機が想定より安価であった。 考えた回数の実験が行えないこともあり、謝金を支払う必要が想定より低かった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年はすでに、国際学会に(昨年落選した)二学会で査読のうえ発表の機会が得られており、またさらにもう一回(合計三回)発表を行う予定(この時点では合否の発表はなし)である。工作器機に関してはその方法で行った検証が失敗したため、NIRSという器機をレンタルする予定である。更に今年度は昨年度以上の検証が必要なため謝金を支払う機会が確実に増加する。
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