研究課題/領域番号 |
26461819
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小林 聡 金沢大学, 医学系, 准教授 (30313638)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | MRI / Gd-EOB-DTPA / トランスポーター |
研究実績の概要 |
本研究の目的は臨床例および動物モデルを用いGd-EOB-DTPA(EOB)の肝細胞取り込み不良のメカニズムを解明し、イメージング手技を最適化することによりEOB造影MRIを肝癌ハイリスク群における鋭敏な早期肝癌スクリーニング検査として確立し、肝癌の早期発見・早期治療を実現し死亡者数の減少を目指すことである。 具体的にはEOBの肝細胞取り込み不良メカニズムを解明し、MRIを用いた最適なイメージング手技を確立するために以下の3つの検討項目を実施する予定である。 ①ヒト肝細胞のEOB取り込み動態の解析. ②ヒト肝細胞のEOB取り込み不良原因の解析. ③小動物モデルを対象にした肝細胞膜トランスポーター分子イメージング手技の最適化. 本年度はEOB造影MRIを施行した444例を対象にChild-Pugh(CP)スコアと肝臓へのEOB取り込みの程度の関係の検討を行った。EOB造影MRI肝細胞相画像において肝実質と血管の信号比(Hepatic vascular/parenchymal enhancement ratio, HER)を求めCPA-C各群のHERを比較したところ、CP-A群ではCP-B、CP-C群と比較して有意にHERは低値を呈した。また、HERとCPスコアの間に有意な正の相関関係があることが判明した。 また、小動物モデルを用いた肝細胞膜トランスポーター分子イメージング手技の最適化の予備段階としてラットにDENを投与して肝硬変ラットを作成したうえでEOB造影MRIを施行する準備に着手した。具体的には正常ラットにてEOB造影MRIを撮像可能であることを確認した。現在はラットにDENを投与して肝硬変ラットを作成することを試みている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では以下の3つの検討項目を実施する予定である。①ヒト肝細胞のEOB取り込み動態の解析. ②ヒト肝細胞のEOB取り込み不良原因の解析. ③小動物モデルを対象にした肝細胞膜トランスポーター分子イメージング手技の最適化. 今年度は①のヒト肝細胞のEOB取り込み動態の解析の一環として肝予備能と肝細胞のEOB]取り込みの関係を検討し、③の小動物モデルを対象にした肝細胞膜トランスポーター分子イメージング手技の最適化の検討の準備に着手した。概ね予定通りに研究は進行していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は実施予定の3つの検討項目である①ヒト肝細胞のEOB取り込み動態の解析. ②ヒト肝細胞のEOB取り込み不良原因の解析. ③小動物モデルを対象にした肝細胞膜トランスポーター分子イメージング手技の最適化.のなかで①として臨床例のEOB造影MRI画像を用い、肝細胞内へのEOB取り込み程度の変化を経時的に観察しヒト肝細胞のEOB取り込み動態(OATP8の反応速度)を明らかにするとともに、EOB取り込み不良例のEOB取り込み不良原因の解析をカルテ上の投与薬剤のチェックなどを通して行う予定である。あわせて、③小動物モデルを対象にした肝細胞膜トランスポーター分子イメージング手技の最適化の準備を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に画像閲覧・統計処理用のソフトウエアの購入予定であったが、データ収集中であり統計処理等に未だ着手しておらず本年度はソフトウエア購入を行っていない。また、データ記憶装置の購入もデータ収集中のため本年度は記憶装置の購入は予定数に達していない。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度も継続的にデータ収集を行うため必要に応じてデータ記憶装置の購入を行い、データがプールされた時点でソフトウエアを購入し統計解析を開始する予定である。
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