研究課題
本研究の目的は臨床例および動物モデルを用いGd-EOB-DTPA(EOB)の肝細胞取り込み不良のメカニズムを解明し、イメージング手技を最適化することによりEOB造影MRIを肝癌ハイリスク群における鋭敏な早期肝癌スクリーニング検査として確立し、肝癌の早期発見・早期治療を実現し死亡者数の減少を目指すことである。具体的にはEOBの肝細胞取り込み不良メカニズムを解明し、MRIを用いた最適なイメージング手技を確立するために以下の3つの検討項目を実施する予定である。①ヒト肝細胞のEOB取り込み動態の解析. ②ヒト肝細胞のEOB取り込み不良原因の解析. ③小動物モデルを対象にした肝細胞膜トランスポーター分子イメージング手技の最適化.本年度は小動物モデルを対象にした肝細胞膜トランスポーター分子イメージング手技の最適化を中心に研究を行った。すなわち予備段階としてラットにDENを投与して肝硬変ラットを作成することを試みている段階である。具体的には、当初の計画では薬剤投与に伴うラットの死亡は考慮していなかったが、参考文献に従った薬剤量の投与ではラットが投与数日で死亡してしまい現段階ではラット肝硬変作成には至っていない。現在他大学の類似実験の経験者の指導のもと、DEN投与量・方法の変更などを行いながらラット肝硬変の作成を試みているところである。また、ヒト肝細胞のEOB取り込み不良原因の解析の一環として、EOB取り込み不良症例の画像検討と画像不良改善の試みとして投与80分後の超遅延相画像の有用性の検討に着手した。
2: おおむね順調に進展している
本研究では以下の3つの検討項目を実施する予定である。①ヒト肝細胞のEOB取り込み動態の解析. ②ヒト肝細胞のEOB取り込み不良原因の解析. ③小動物モデルを対象にした肝細胞膜トランスポーター分子イメージング手技の最適化.今年度は③の小動物モデルを対象にした肝細胞膜トランスポーター分子イメージング手技の最適化の検討のためラット肝硬変モデルの作成を開始・継続中である。また、②ヒト肝細胞のEOB取り込み不良原因の解析の一環としてEOB取り込み不良症例の画像検討と画像不良改善の試みとして投与80分後の超遅延相画像の有用性の検討に着手した。
今後は実施予定の3つの検討項目である①ヒト肝細胞のEOB取り込み動態の解析. ②ヒト肝細胞のEOB取り込み不良原因の解析. ③小動物モデルを対象にした肝細胞膜トランスポーター分子イメージング手技の最適化.のなかで①として臨床例のEOB造影MRI画像を用い、肝細胞内へのEOB取り込み程度の変化を経時的に観察しヒト肝細胞のEOB取り込み動態(OATP8の反応速度)を明らかにするとともに、②の一環としてEOB取り込み不良例における超遅延相撮影の有用性の検討を行う予定である。また、並行して、③小動物モデルを対象にした肝細胞膜トランスポーター分子イメージング手技の最適化の実証を行い、最終的に肝細胞膜トランスポーター分子イメージング手技の最適化の条件を明らかにする予定である。
当初は本年度に画像閲覧・統計処理用のソフトウエアを購入予定であったが、データ収集中であり画像解析、統計処理には着手していないためソフトウエア購入を行っていない。データ記憶装置の購入もデータ収集が進行中のため予定数の記憶装置購入には至っていない。
データ記憶装置に関しては、データ蓄積により記憶装置の追加が必要となった際に適宜購入予定である。また、画像処理・統計解析ソフトウエアに関しては今年度早期に購入し、解析を開始する予定である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Abdom Imaging.
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