研究課題
膵悪性腫瘍、膵炎患者を除く、計102例を対象にDiffusion kurtosis imaging(拡散尖度画像)の撮像を行った。全症例において、拡散尖度画像から得られるK値の測定が可能であり、膵頭部、膵体部、膵尾部の3箇所でそれぞれK値を測定し、これらを平均したものを膵実質のK値とした。最大で過去3回分のHbA1c値を平均し、アメリカ糖尿病学会の診断基準に照らし合わせ、被験者を正常群、糖尿病境界群、糖尿病群の3群に分類した。各群におけるK値とその他、ADC値をはじめとするルーチン撮像された膵MRIの各シーケンスにて計測した信号値を比較検討した。糖尿病群においては正常群と比較し、ADC値は有意に低値(P = 0.009)、k値は有意に高値(P < 0.001)を示した。ROC解析の結果より、K値における糖尿病群の検出能は感度90%、特異度88%、AUC値 0.92であり、ADC値と比較して有意に高いAUC値を示した(P < 0.001)。糖尿病患者の膵実質にはIAPPと呼ばれるタンパク質の沈着に引き続き、膵実質の線維化が引き起こされる。拡散尖度画像から得られるK値は細胞レベルの微小構造の複雑性を示すと言われており、これまで膵線維化と相関があるとされていたADC値よりも優れた相関を示したことから、K値はより組織の複雑性を反映し、臨床応用も期待される結果となった。
すべて 2016
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Journal of Magnetic Resonance Imaging
巻: 43 ページ: 159-165
10.1002/jmri.24982.