研究課題/領域番号 |
26461830
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
米田 哲也 熊本大学, その他の研究科, 准教授 (20305022)
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研究分担者 |
平井 俊範 宮崎大学, 医学部, 教授 (40274724)
橋本 衛 熊本大学, その他の研究科, 准教授 (20452881)
池田 学 熊本大学, その他の研究科, 教授 (60284395)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 認知症 / アルツハイマー病 / MRI / 位相画像 / アミロイド老人斑 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、人とマウス脳を病院と動物用MRIを用いて研究を行った。マウス脳では、前年度に引き続いて同じ月齢のマウスを撮像し、例数を増やすことで、問題としていた統計的信頼度の確保を目指した。染色技術では鉄染色の偽陽性排除の研究を行い、検出能の向上に努めた。また老人斑の発生に伴って老人斑内部では炎症も起こりうると考え、長期の炎症に伴って発生する石灰化の検出が一つのキーワードになり得るのではないかと考え、石灰化の検出を染色によって可能にするために、カルシウム染色を行った。カルシウム染色の結果、大きな老人斑では沈着が認められ、我々の予想通りの結果となった。小さな老人斑も石灰化を含むと考えられるが、免疫染色と一致しているかは現在検討中である。位相画像との比較は、極めて複雑で、鉄による位相成分と、カルシウム(石灰化)による位相成分が入り交じっており、特に大きな石灰化を含むもの以外では、その存在を直接検出することは難しかった。しかしながら、すでに開発済みの2成分モデルを用いることによって、石灰化の存在を検出できるのではないかと考え、次年度への課題として検討を進めている。このように、マウスを用いた検討では、従来の鉄沈着をキーワードとした検出法以外でも、石灰化を介した(もしくは鉄と組み合わせた)検出法も早期発見に寄与するのではないかという結果を得た。 ヒトへの応用は、多重エコー法を用いたPADRE画像作成と、これらの重み付けによる老人斑検出が可能ではないかと考えて、研究を進めた。平行して従来検討を進めている2D法による臨床画像取得も続けた。3D多重エコー法を用いることにより、2D法では区分が難しく臨床医から問題であると報告されていた(連続する)血管と老人斑との区分を連続性だけでなく、信号値の違いで表現することが可能になり、より臨床向けの画像を作成することを可能にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス月齢は従来取得してきた月齢に加えて、20ヶ月、25ヶ月を加えることができた。また、各月齢での例数を増やすことができたため、統計的な確度が増した。さらに動物実験では、石灰化が老人斑検出に使用できる可能性を指摘できたため、全く新しい知見として有用であると考えられる。 人への応用は、従来続けていた2Dによる撮像法での臨床検査を続けて、国際学会発表や受賞を経験した。例数も30例近くまで増えて、現在論文化の検討を行っている。また、従来臨床上問題になっていた、皮質内部の血管と老人斑との区分のために、新たに多重エコー法を用いた3D撮像法とその再構成法の工夫を行い、より検出能の高い画像を作成することに注力した。その結果、血管と老人斑との区分を容易にすることを可能にし、より精度の高い発症前診断可能な画像の作成につながったと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
マウス検討では月齢がそろっているために、論文化を目指す予定である。さらに、高月齢マウス脳を用いて、より短い時間での撮像法の検討と、検出能の関係を明らかにする予定である。そこでは、空間分解能と高速撮像法との組み合わせを検討してゆく予定である。この検討により、効率的な発症前診断に使用可能な我撮像パラメタの決定を行いたい。 臨床検討では、3D多重エコー法を用いた臨床検討を始めてゆきたい。特に、前頭葉、下側頭葉、海馬付近での老人斑検出が可能であるように研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国際学会分科会が次年度開催となったため、使用する用途がなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
当該資金を使用して、前年度予定していた国際学会分科会への参加を行うことで順当に使用される予定である。
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