前年度に引き続いて大腸がんラット肝転移モデルにおけるナノDDS製剤の効果を検証している。これまで実施した成果として、大腸がん細胞株としてRCN-9を用いて、ナノDDS製剤と通常使用されているイリノテカンの感受性について試験を実施したところ、ナノDDS製剤の感受性が高いことが確認できた。次にF344ラットの肝転移モデルを作成し、ナノDDSであるNK012の動注群・静注群、イリノテカン動注群、コントロール群の4群を設定し、各群における腫瘍内、肝実質、末梢血の薬剤濃度を直後から7日目まで経時的に評価した。NK012において、動注群では静注群に対して、経時的に全ての測定ポイントで腫瘍内濃度の高値を示した。一方、肝実質においては、両群において濃度差はない結果であった。NK012の蛍光染色による経時的組織内量も組織内濃度と同様の結果が示された。
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