研究課題/領域番号 |
26461836
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
佐々木 真理 岩手医科大学, 医学部, 教授 (80205864)
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研究分担者 |
寺山 靖夫 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70146596)
山下 典生 岩手医科大学, 医学部, 助教 (90628455)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 超高磁場MRI / 磁気共鳴血管造影 / 流体解析 / 脳小血管病 / 外側線条体動脈 |
研究実績の概要 |
動脈硬化性病変の画像診断は近年急速に進歩しているが、穿通動脈などの頭蓋内微細血管病変に対する画像診断・解析技術は未だ確立していない。特に脳小血管病の病態機序は未だ不明の点が多く、直接可視化・定量化する手法の開発と高精度早期診断技術の確立が急務である。そこで我々は、本学の最新鋭超高磁場7テスラMRIを用いて超高解像度MRA画像を撮像するとともに、高精度数値流体力学解析法を開発して、急性期脳梗塞患者における穿通動脈などの小血管の軽微な変化を検出することで、脳小血管病の高精度低侵襲早期診断技術の確立を目指している。 当該年度は、7テスラMRIを用いて外側線条体動脈領域の急性期非心原性脳梗塞患者15名の撮像を実施した。また、専用ソフトウエアを用いて、7テスラMRIで取得した高解像度MRAのデータから外側線条体動脈を含む高精細血管形状メッシュモデルの作成法を改善し、精度向上を達成した。さらに、専用高速解析プラットフォームを用いて、メッシュモデルから数値流体解析法による種々の流体力学的指標(wall shear stress [WSS], WSS gradient [WSSG], mass flow rate [MFR])を算出した。また、解析上の境界条件を最適化し、さらなる精度向上を達成するとともに、自動定量法を確立した。 以上の研究開発の結果、急性期脳梗塞患者における患側の外側線条体動脈のWSS, WSSGが、責任血管・非責任血管にかかわらず、対側に比し有意に低値を示すことを世界で初めて見出した。一方、親血管である中大脳動脈水平部のWSS, WSSG, MFRには左右差を認めず、外側線条体動脈の流体力学的特性が外側線条体動脈領域の脳梗塞の誘因となっていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、急性期脳梗塞患者の撮像の追加と並行して、3次元形状モデル作成法の改良・数値流体力学解析法の改良を行い、上記手法を用いて外側線条体動脈の流体力学的指標を算出して定量解析を行い、脳梗塞発症と関連する指標を見出すことができた。 一方、昨年度同様脳梗塞患者における造影剤使用のインフォームドコンセントを得ることが困難で、血管透過性解析については行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
脳梗塞患者の撮像および脳穿通動脈の流体解析は極めて順調に進捗しており、次年度は脳梗塞患者の追加撮像および流体解析を更に進め、他の画像所見や臨床所見との比較を加えることで、脳梗塞予測指標としての意義を明らかにする。血管透過性については、造影剤使用が実質上困難なことから、本研究では実施しないこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
急性期脳梗塞患者に対し血管透過性解析を行うことができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
数値流体力学解析が予想以上に順調に推移しているため、データ保存用消耗品として使用する予定。
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