研究課題/領域番号 |
26461837
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
稲岡 努 東邦大学, 医学部, 准教授 (00322892)
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研究分担者 |
寺田 一志 東邦大学, 医学部, 教授 (90227520)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | MRI / 末梢神経 / 拡散テンソル画像 / 神経伝導速度 / ADC値 / FA値 / fiber tracking |
研究実績の概要 |
3T MRIを使用し,拡散テンソル画像の撮像条件の検討を行い,ヒト手関節部正中神経の評価における至適撮像条件を検討し,固定化した.健常ボランティア40名余り,20~50代で各世代10名程度になるように両側手関節部を撮像し,正中神経の評価を行った.同時に前腕部での神経伝導検査を行い運動神経伝導速度(MCV),感覚神経伝導速度(SCV)を測定した.MRIでは橈骨遠位端を基準点として橈骨遠位端,その遠位,その近位の計3点でADC値,FA値を計測した.MRIで計測したADC値,FA値と神経伝導検査で計測された運動神経伝導速度(MCV),感覚神経伝導速度(SCV)との相関性を検討した.検定の結果,MRIよりのFA値と感覚神経伝導速度(SCV)に強い相関関係があることが分かった.その他のFA値と運動神経伝導速度(MCV),ADC値と運動神経伝導速度(MCV),ADC値と感覚神経伝導速度(SCV)に相関関係は認めなかった.つまり神経伝導検査において感覚神経伝導速度の低下がみられた場合にMRIでのFA値に低下が確認されることがわかった.末梢神経障害患者においては感覚神経伝導速度(SCV)の低下が初期ではみられるため,末梢神経障害患者に対する非侵襲的な検査法としてMRIでの拡散テンソル画像を用いてFA値を測定することの有用性が示唆される結果となった.また,正中神経障害患者での撮像も行っているが,まだ患者数が少ないため,今後,患者数を増やしていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
健常ボランティア40名のMRIからの正中神経部のADC値,FA値と神経伝導速度測定との比較検討を行い,現在解析中であるが,60歳未満での評価を行ったが,60歳以上でのデータを集積すべきという考えもあり,ボランティア収集を追加する可能性が出てきている.また,末梢神経障害患者について収集を当院神経内科を介して行っているが,MRI,神経伝導速度測定の両者の検査に同意していただける患者が当初の予定よりも少なく,末梢神経障害患者でのデータ収集及び解析が遅れ気味である.
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今後の研究の推進方策 |
健常ボランティア40名の手関節MRI拡散テンソル画像から収集したADC値,FA値と神経伝導検査との解析から,当初は60歳未満での解析で十分かと考えていたが,60歳以上でもデータの収集が必要になると考えている.まずは,健常ボランティアでの拡散テンソル画像,神経伝導検査についての結果を磁気共鳴医学会,技術学会で発表する予定である.また,来年度の国際磁気共鳴医学会にもエントリーする予定である.さらに,末梢神経障害患者を神経内科を介して集めるように再度働きかける.また,同時に頸髄神経など他の末梢神経でも同様な方法が可能かについても検討を行っていきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
健常ボランティア40名余りへの謝礼については支出は完了しているが,データ収集が不十分な場合に残しておいた費用が残っているため.
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次年度使用額の使用計画 |
健常ボランティアを追加する予定があり,謝礼費用として繰越金は使用する予定である.また,関連した国際学会への参加,学会での発表を予定しており,学会参加費,旅費,英文校正費,印刷代などに使用する予定である.
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