研究実績の概要 |
本研究の目的は,臨床用高磁場MRIを用い, これまでに構築してきた細胞密度を可視化する「細胞密度イメージング」および肝機能を可視化する「肝機能イメージング」を臨床応用し,分子標的薬における反応性の早期評価および手術支援肝機能画像の開発を行うことである。本年度は①息止め撮像に対応した細胞密度イメージングの開発。②術後肝障害を予測し得る手術支援肝機能画像の開発。③1H-MRIを用いて19F,31Pを検出するための手法を開発するための基礎実験を主目的とした。 【具体的内容】細胞密度イメージング:一度の息止めで磁化移動効果を検出し得る撮像シーケンスを開発した。手術支援肝機能画像:肝切除後の残肝機能を肝切除前に予測する肝予備能評価法として, 肝細胞相における肝細胞特異性造影剤(Gd-EOB-DTPA)の造影率を画像化したrelative liver enhancement (RLE)を臨床応用した。RLEを用いることにより,従来予測不可能であった術後肝障害を予測できる可能性を示唆した。1H-MRIを用いた19F,31Pの検出:NMRを用いて基礎実験を行った。化学交換による飽和の伝達およびデカップリングを誘起することにより, 1H-NMRで19F,31Pを検出することが可能であった。【意義】息止め撮像に対応した細胞密度イメージングの開発により, 細胞密度画像の精度が向上した。肝機能イメージングを術後肝障害の予測に臨床応用することにより,術前に残肝機能を評価できる可能性がある。1H-NMRにおける19F,31Pの検出結果は,1H-MRIを用いた19F,31Pの検出を行うための基礎データとして有用であった。 【重要性】本研究は肝機能イメージングの臨床応用を推進するとともに, MRI分子イメージングにおける新たな手法の開発が期待できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた①細胞密度イメージングにおける新たな撮像シーケンスの開発。②術後肝障害を予測し得る手術支援肝機能画像の開発。③1H-MRIを用いて19F,31Pを検出するための手法を開発するための基礎実験を実行し, 肝機能イメージングの臨床応用を推進するとともに, MRI分子イメージングにおける新たな手法の開発が期待できるという成果を得た。
|