研究実績の概要 |
本研究の目的は,臨床用高磁場MRIを用い,「細胞密度イメージング」および「肝機能イメージング」を臨床応用し,分子標的薬における反応性の早期評価および手術支援肝機能画像の開発を行うことである。本年度は①術後肝障害を予測し得る手術支援肝機能画像の臨床応用と②分子標的薬における反応性の早期評価を実施した。 【具体的内容】①肝機能イメージング:肝切除後の残肝機能を肝切除前に予測する肝予備能評価法として, 肝細胞相における肝細胞特異性造影剤(Gd-EOB-DTPA)の造影率を画像化したrelative liver enhancement (RLE)を臨床応用した。RLEを用いることにより,従来予測不可能であった術後肝障害を予測できる可能性を示唆した。手術適応となるChild-pugh A群のみを対象とした場合, RLE値よりもRLE値の変動係数が残肝機能の術前予測に有用であることを明らかにした。②細胞密度イメージング:転移性肝腫瘍に対する化学療法症例について, 分子標的薬における反応性の早期評価を実施した。磁化移動効果を利用したEquivalent cross-relaxation rate imaging(ECRI)により,化学療法開始2週間後に早期評価が可能であった。【意義】肝機能イメージングを術後肝障害の予測に臨床応用することにより,術前に残肝機能を予測することが可能であり,術後肝障害を予測することが可能であると考えられる。ECRIは分子標的薬における腫瘍細胞の壊死を早期に検出し, 分子標的薬における反応性の早期評価に有用な手法である。 【重要性】本研究は肝機能イメージングの臨床応用を推進するとともに,分子標的薬における反応性の早期評価に細胞密度イメージングが新たな手法となりうることを明らかにした。
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